ラグビーリパブリック

早大戦での反省活かす。帝京大が明大を一蹴! 「ハードワークした結果」

2023.11.20

力強い突進でゴールに迫った帝京大のLOダアンジャロ・アスイ


 きょうは隙を見せまい。大学選手権2連覇中の帝京大ラグビー部は、その思いを立ち上がりから表現した。

 11月19日、東京・秩父宮ラグビー場。加盟する関東大学対抗戦Aの第6戦目で明大との全勝対決に挑んでいた。
 
 自軍ボールのキックオフを右奥の相手司令塔のSO伊藤耕太郎へ放ち、その地点を大型FW陣に囲ませた。ターンオーバー。以後は向こうの堅守、展開力に負けず、ほぼ敵陣に居座ることができた。6分には先制した。FLの青木恵斗らの好突進が続く流れで、WTBの小村真也がトライラインを割った。直後のコンバージョン成功で7ー0。

 12ー5と帝京大の7点リードで迎えた27分頃には、カウンターアタック、スペースへの蹴り合いの応酬に持ち込まれた。続く35分には、明大の伊藤耕のランを許すなどして12ー8と詰め寄られた。

 しかし、その直後にヒーローが光る。

 帝京大WTBの小村が、仲間のハイパントを敵陣中盤の左中間で好捕。着地と同時に、バックフリップパスを繰り出した。味方LOのダアンジャロ・アスイを、同ゴール前中央まで走らせた。

 この地点では、明大FBの池戸将太郎が強引に球出しを防ごうとして10分間の一時退場処分を食らった。帝京大は、ペナルティゴールで15ー8とリードを広げた。

 帝京大はその後、数的優位を活かした。ハーフ線付近でのワイド攻撃から、自陣10メートル線付近の右中間に立っていた小村がキック。「50:22」ルールに伴い、敵陣ゴール前右で自軍のラインアウトを得た。そのラインアウトからFLの奥井章仁副将が抜け出すなどし、22ー8と大きくリードした。

 22ー11と差を詰められていた後半17分頃、帝京大は防御で魅した。

 自陣10メートル線付近中央でCTBの久木野太一がタックルし、奥井がセービング。間もなくSHの李錦寿が右奥へ好キックを放ち、NO8の延原秀飛が捕球役へチャージを繰り出した。

 直後の相手ボールラインアウトでは、着地した明大からターンオーバー。CTBの五島源、HOの江良颯主将らが12フェーズを継続し、最後はFLの奥井がフィニッシュ。29ー11と、帝京大はリードを18点に広げた。

 その後も明大の堅守と真っ向勝負をし続け、31、38分と連続でスコアした。43ー11。帝京大は勝ち点を29に伸ばし首位に浮上した。明大は同25で8チーム中2位となった。

 プレーヤーオブザマッチに輝いた奥井は、「(明大は)本当にタフな相手。80分どっちに転ぶかがわからないなか、僕たちがハードワークした結果がきょうの点数になったのかなと思います」と総括した。

 さかのぼって5日の秩父宮では、早大に36ー21と勝利も内容には不満足だった。接点で受けに回り、攻撃中のエラーで二の足を踏んだからだ。

 FLの青木恵斗は早大戦後、準備期間で岩出雅之前監督から「低いプレー」を意識するよう助言されていたという。その「低さ」に加え、1歩目の出足をフォーカスして決めたのが後半31分のトライだった。3人のタックラーを蹴散らしての1本である。

「自分の持ち味であるフィジカルでチームに貢献しようと思いました。早大戦でミスがあったのを修正して、ボールを継続してトライを獲り切れた。チームとしてポジティブに捉えられます」

 かたや敗れた明大の神鳥裕之監督は、「このチームは、持っているポテンシャルが素晴らしい。そう信じています」。時間帯ごとに優劣が入れ替わったスクラムについては「昨年、やられている印象があったなか、きょうは自分たちの形も見られた」と捉えた。

 反省点は、好機をミスで逸したことだという。冬の大学選手権での再戦へ「緊張感のある試合での、勝負どころでのプレーの精度、決定力(を改善したい)」と前を向いた。

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