ゲームのスピードアップを後押しする。
試合の停滞が減ることは、ファンのためであり、モメンタムの奪い合いでもあるラグビーにおいて、プレーヤーにとっても大きい。
ジャパンラグビーリーグワンは2023-24シーズンから、先のワールドカップ(以下、W杯)でも採用された、いわゆる「バンカーシステム」を試験的実施ルールとして適用することを発表した(11月12日)。
「20分レッドカード」も導入される。
いずれも、ディビジョン1、2と、プレーオフトーナメント、入替戦において適用される。
W杯でも導入されたバンカーシステムとは、レフリーがファールプレーに対してイエローカード以上のジャッジをした際、必要であれば、担当者にオフフィールドレビュー(Off Field Review)を求めるものだ。
8分以内にレビューの結果を示し、レッドカード相応か否かを確認、決定する。
リーグワンでは昨季まで同様のケースが起きた場合、試合が長く停滞するケースがたびたびあった。
テレビジョンマッチオフィシャル(以下、TMO)担当者と、ピッチ上で大型ビジョンを見るレフリーが繰り返し映像を見て判断していた。
その状況が解消される。
W杯では専用の別室を作り、外圧のない中で担当者が詳細を確認するシステムが導入された。
しかしリーグワンでは、『ファールプレーレビューオフィシャル』(Foul Play Review Officer、以下FPRO)が、スタジアム内でTMO担当者の隣に座る。
レフリーがプレーヤーにイエローカードを提示し、カードを?に持ったまま腕を頭の?さで交差させるシグナルを示した場合、TMO担当者がFPROに映像準備等の指?を出す。
その後、8分以内にイエローカード、もしくはレッドカードのジャッジをTMOからレフリーに伝える。
『20分レッドカード』は、2020年シーズンからスーパーラグビーで導入されたものだ。
レッドカードの判定を受けた当該選手は退場となるが、20分後に当該選手と別の選手を交替することを可能とする(※退場選手への追加処分などは従来通り)。
このシステムの導入によって15人×15人の状況が担保される時間が長くなる。レッドカード提示で生じる数的有利、不利によって、勝負の天秤が大きく傾くことが少なくなるだろう。
チームにとってはもちろん、イーブンコンディションでの攻防、勝負を楽しみたいファンにとってもポジティブなものになる。
ただ、このシステム導入による20分後の交替選手投入に関しては、暴力や悪質なプレーなど、一発退場となったケースには適用されない。
オフフィールドレビューを経てレッドとされたものに限る。
この日は、リーグワン所属の各チーム、ヘッドコーチらにも説明する時間が設けられた。
チームサイドからも要望が出た。
例えば危険なタックル時。アクシデントの要素が高いケースにも、レッドカードが出されることもある。
共通認識や理解があっての決定だと分かっている。その上で、最終的な処分決定に至る背景や根拠を明確に示し、一貫性が保たれるようにしてほしい。
リーグ、ゲームのエンタメ性と、プレーの質、安全を追求する変化やアクションを、今後も続けていかなければならない。