東京・府中駅近くが熱気に包まれた。けやき並木通りに集まったのは約5000人。
11月12日の午後、『ラグビーワールドカップ2023 日本代表報告会』が催された。
高野律雄市長はラグビーマン。東芝ブレイブルーパス東京、東京サントリーサンゴリアスも活動している。市民は、『ラグビーのまち府中』と胸を張って言う。
ブレイブルーパスからは、日本代表としてフランスで戦ったリーチ マイケル、ジョネ・ナイカブラ、ワーナー・ディアンズが参加。サンゴリアスの堀越康介、下川甲嗣も、ファンの声援を受けて笑顔を見せた。
5人の選手たちは、けやき通りに集まったファンが作った約90メートルの花道を40分近くかけて歩き、その後、ステージに上がった。
ファンからサインやスマートフォンでの撮影を頼まれた選手たちは、そのほとんどに応え、笑顔でコミュニケーションをとり続けた。
曇天で気温も低かったものの、幸せな時間が流れた。
トークショーでは、リーチが「負けた(プールステージ敗退)にもかかわらず、たくさんのファンに来ていただいた。感謝します」と挨拶した。
「誰も来ないのでは、と心配でした」と笑わせた。
堀越も、「普段はこのあたりを歩いていても声をかけられないのですが、こんなに多くの方に集まっていただけて嬉しいです」とリラックス。
下川は、「僕も、このあたりでは声をかけてもらったことがありません。今度からは話しかけてください」と続いた。
シャイなナイカブラは小さな声ながら、感謝の気持ちを一生懸命日本語で伝えた。
ディアンズは、流暢なトークでファンの心を掴む。
「僕は(大きいので)ここを歩く時も隠れることができず、いつも声をかけてもらいます。今日は、こんなにも多くの人に集まってもらい感動です」と話した。
大会中もファンの大声援を受けて力をもらったと、全選手がそれぞれの言葉で伝えた。
ホームタウンとしたトゥールーズの人々のあたたかさ、チームの結束の強さを聞いたファンは、何度も拍手をした。笑顔を見せた。
試合出場のなかった堀越も、堂々と、自分の言葉で思いを伝えた。
「(出る、出ないに関係なく)選手全員に、それぞれの役割があると思ってやっていました。チームの成功のためには、誰一人欠けてはいけないと思いました」
目標としていた上位進出こそ実現できなかったけれど、一丸となったチームが、持てる力を出し切って戦ったことは、そこにいた大勢のファンに伝わったはずだ。
開幕が迫るリーグワン(12月9日)。第2節の12月17日には府中ダービー、サンゴリアス×ブレイブルーパス(味の素スタジアム)が待っている。
リーチが、「ダービーは人生の中でいちばん楽しみな試合」と言うと、大きく沸いた。
この街に暮らしてよかった。来月、スタジアムに行こう。
リーチの言葉を聞いた瞬間、多くの市民がそう思った。