キーワードは「Be aggressive」。果敢に攻めるべし。それを立ち上がりから体現した。
東海大ラグビー部は11月12日、神奈川・小田原市城山陸上競技場で東洋大とぶつかった。5連覇中の関東大学リーグ戦1部の今季6戦目だ。
昇格2年目の東洋大には、昨季初戦で24―27と敗れていた。しかしこの日は、57―14で快勝。開幕からの連勝を6に伸ばした。
試合へ臨む態度を、最初から明らかにしていた。
相手ボールのキックオフを自陣22メートル線付近左端で受けるや、リスクを背負って攻撃を始めた。
着実に蹴り返して陣地を取るのではなく、右大外に展開。ちょうどそのエリアの防御が手薄とあり、東海大はラインブレイクに成功した。
後衛を前に引っ張り出すと、今度はSOの武藤ゆらぎが右の奥側へキック。東洋大の蹴り返しを東海大がハーフ線付近右で受けると、パスをもらった武藤が左のコーナーへ右足を振る。再び陣地を奪う。球の落下地点で東海大が防御網を敷き、圧をかけ、ペナルティーキックを得た。まもなく5―0と先制した。
「アタックでは、いままで曖昧になってきた部分を正して挑みました。ひとりひとりの判断とコミュニケーションで、空いているスペースにボールを運べた」
WTBの谷口宜顕がこう話す通り、東海大はどのエリアからも連続攻撃を仕掛けた。
接点付近のFW陣のユニットと、その後方に並ぶ武藤らのラインが連動。防御をかく乱した。
序盤は接点での反則で足踏みし、前半31分には5―7とリードを許した。しかしその約3分後には、12―7と勝ち越した。大外での崩しと突進、中央突破を絡め、CTBの何松健太郎がトライを決めた(1分後にコンバージョンも成功)。
続く前半40分には、自陣10メートル線付近右のラインアウトから攻め切る。左端にできた数的優位を活用し、抜け出した中川湧眞、谷口の両WTBらが繋ぐ。最後はSHの辻時羽のトライなどで19―7と差をつけた。
後半も連携攻撃を重ねた。2分には、敵陣10メートル線左のラインアウトから右中間へ回した。谷口が突破し、そのままフィニッシュした。24―7。
自陣ゴール前での危機を乗り越えて迎えた後半8分以降は、11分までに2本連続でトライ。38―7と一方的な展開に持ち込んだ。
以後、流れを保った。後半20分には敵陣中盤で角度をつけたパスを重ね、中川のトライを50得点目に変えた。敗れた東洋大のFL、タニエラ・ヴェア主将は述べた。
「ワンパスで2~3人くらい切られて…(1本のパスで複数名が置き去りにされ、スペースを突かれた)。ノミネート(防御時の位置取り)の部分は、これからやって(見直して)いきたいです」
両軍が目指すのは大学日本一だ。全国大学選手権への出場枠が上位3傑に与えられるなか、3連敗中の東洋大は勝ち点16で8チーム中3位につける。
4位の法大、5位の大東大がそれぞれ勝ち点15、14と接近しているとあり、2シーズン連続での選手権行きへ緊張感を保つ。最終戦は26日に東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれ、ここまで勝ち点7で7位の日大が相手だ。
対する東海大はここまで勝ち点30で首位。やはり26日に秩父宮で、勝ち点27で2位の流経大と首位決戦をおこなう。