ラグビーリパブリック

啓光トリオ。大津直人&木田匡也&佐藤侃太[摂南大]

2023.11.04

左から木田匡也、大津直人、佐藤侃太

「3人揃って試合に出られたのはすごいことですよね。僕ら”啓光”ですけど、弱小ですから」

 大津直人は笑顔で言った。摂南大の3年生だ。

 今季の関西大学Aリーグ、関西学院大戦で、常翔啓光学園に通った同級生3人が同時にピッチに立った。
 大津が12番、WTBの木田匡也(まさや)は14番で先発フル出場、控えのSHだった佐藤侃太(かんた)は後半途中から出場した。

 常翔啓光学園は、前校名の啓光学園時代に戦後唯一の花園4連覇を成し遂げている(2001年度~)。常翔学園グループに吸収されて現行名となった2008年度には、7度目の優勝を飾った。
 ただその年を最後に全国大会から離れる。ラグビーによる推薦入学やスポーツクラスがなくなったためだ。

 大津が高校1年の終わりには、部員が6人まで減った。3年生の引退に合わせて2年生全員が退部。他校と合同チームを組んだ。
「6人ではラグビーできないので、きつかったです。土日は合同ですけど、平日はずっと同じ練習で、作業に近い感覚でした。でもラグビーが嫌いになることはなかったので、辞めるという選択肢はなかったです」

 その6人のうち、摂南大でもラグビーを続けたのが、大津、木田、佐藤の3人だった。

 大津は兄の影響で常翔啓光学園中からラグビーを始めた。高校は強豪校からの誘いもあったが、「監督から残って欲しいと言われてそのまま上がりました」。
 その選択に後悔はない。3年時には全国U18東西対抗戦に出場し、トライも挙げた。

 摂南大でもすぐに頭角を表した。SOに転じた1年時から先発機会を掴む。ただ、実力と反して入部当初は「本気でやるつもりがなかった」。
「体も小さいですし(165㌢、75㌔)、通用しないだろうと。でもメンバーに入ってから、卒業する4回生のために頑張りたいと思うようになって。そこからどんどんやる気が出てきた」

 昨季は全試合で10番を背負った。今季はインサイドCTBを兼務しながら先発出場を続ける。

 木田と佐藤は今季から出場機会を掴んだ。
 木田は高校時代、バレー部に入っていたが、1年の秋に転部する。
「中学ではサッカーをやっていたので、あまり動かないのが物足りなくて」
 同じクラスの佐藤からずっと勧誘を受けていたのも大きかった。

 春の関西セブンズでの活躍を経て、先発の座を射止めた。反対の翼であるマイケルズ・カストンは仲間であり、ライバルだ。「スピードはカストンにも負けてない自信があります」。
 しかし、開幕から3試合はなかなかボールタッチの機会を得られなかった。「自分からもらいにいくことも必要だし、カストンみたいに必要とされるような活躍を見せないといけない」と反省した。

 結果が出始めたのは次節の同志社大戦から。2トライを挙げて勝利に貢献すると、次の立命館大戦でも快速を飛ばしてチャンスを作った。「ようやくです」と目尻を下げた。

 中学まで野球少年だった佐藤も、「高校では違うスポーツがやりたい」とラグビーの門を叩いた。はじめは、高校で競技を辞めるつもりだった。大学ではスタッフ志望だった。
 常翔啓光の川村圭希監督に「1年は選手をやって、摂南のラグビーを理解してからのほうがいい」と提案を受け、いまに至る。
「なんで1年で辞めなかったのかは分かりません(笑)。結局、見るのも好きですが、やるのも楽しかったんですよね」

 瀬川智広監督からは努力家として評価される。昨季までは2学年上で同じSHの西村和と居残り練習を続けていた。
「先輩がケガしたのもあって、自分がやらないと、と。それがあって、ここまで頑張れたと思います」

 開幕節からメンバー入りしたが、2戦は80分ベンチを温めた。3戦目で出番が訪れる。
「緊張感は初戦よりもなかったです。ベンチにいる時は盛り上げることしかできないので、必死に声を出していました。出たときは先発の三田村(裕城・副将)さんにどれだけ近いプレーができるか。追いつけるように頑張りたいです」

 3人の行きつけは、佐藤の両親が営むパスタ屋「Passo」(パッソ)。3人とも部内では少数派の枚方から通っているから、行動をともにすることは多い。

 大津が目標を口にする。
「3人スタメンで出たいですね」
 啓光トリオで摂南大を盛り上げたい。

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