ラグビーワールドカップ2023フランス大会で栄冠に輝いたのは、南アフリカ代表“スプリングボックス”だった。パリ郊外のサンドニにあるスタッド・ド・フランスで現地時間10月28日、ニュージーランド代表“オールブラックス”と決勝を戦い、12-11で死闘を制し、2019年の日本大会に続いて連覇達成となった。最多優勝記録となる4度目のワールドカップ制覇である。
両チーム合計4枚のカードが出たファイナルとなり、ニュージーランドは前半にキャプテンのFLサム・ケインが退場処分となって厳しい戦いとなった。
試合開始早々、ニュージーランドのFLシャノン・フリゼルが危険なプレーでイエローカードを提示され、南アフリカがSOハンドレ・ポラードのペナルティゴール(PG)で先制した。負傷した南アフリカのHOボンギ・ンボナンビは交替を余儀なくされた。
数的有利の南アフリカは12分にも攻め込み、ショットで加点。
その後、両チームともPGでスコアボードを動かし、6点差を追うニュージーランドは24分、27分と敵陣22メートルライン内に入りながらラインアウト失敗で流れを変えることができなかった。
そして、29分にはキャプテンのケインが相手選手の頭部への危険なタックルで退出を命じられ、映像で検証の結果、レッドカードとなり、ケインはフィールドに戻れなくなった。ニュージーランドは残り時間を1人少ない14人で戦うことになった。
数的有利の南アフリカはプレッシャーをかけ続け、33分にはブレイクダウンで相手の反則を引き出し、PGでリードを広げた。
ニュージーランドはなんとか食らいつき、堅守のディフェンディングチャンピオンに対してトライを奪うことは難しいタスクだったが、38分にPGで得点し、6点差に詰めて折り返しとなった。
後半に入り、今度は南アフリカが規律を乱した。46分(後半6分)、キャプテンのFLシヤ・コリシが危険なタックルでイエローカードを提示され、10分間の退出となる。
反撃に出たニュージーランド。
しかし、52分に敵陣深くに入ってトライを狙いに行ったが、パスをつなぐことができなかった。54分には、SOリッチー・モウンガが好走でブレイクしてチャンスを作り、SHアーロン・スミスにつないでトライ、かと思われたが、その前に、ラインアウト時にノックオンがあったことがTMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)で確認され、トライは認められなかった。
それでも、南アフリカに反則があってニュージーランドの攻撃は続き、58分、ゴール前でアドバンテージを得ながら攻め込み、懸命にボールをつないでFBボーデン・バレットがフィニッシュ。だがコンバージョンは失敗で、逆転することはできなかった。
そして、73分、南アフリカのWTBチェズリン・コルビが不正なプレーでイエローカードを提示され、14人対14人になった。ここで、ニュージーランドはショットを選択。しかし、CTBジョーディー・バレットがハーフウェイからPGを狙ったが失敗し、南アフリカの1点リードは続いた。
その後、ニュージーランドはNO8アーディー・サヴェアが相手SOポラードのドロップゴールを阻止するなど、粘り、試合終了間際の78分にハーフウェイまでフェイズを重ねたが、南アフリカはNO8クワッガ・スミスがブレイクダウンでターンオーバー。その後、逆転を目指す黒衣は再びボールを手にして敵陣22メートルラインに近づいたが、グリーンジャージーの男たちは懸命に守り、ニュージーランドのノックオンとなった。
そして、スクラムで再開後、必死にボールを奪いに行ったニュージーランドだが、南アフリカが死守し、激闘はノーサイドとなった。