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【国際車いすラグビーカップ③】フランスに惜敗も、日本、プールBトップで準決勝進出

2023.10.23

「自分の経験を活かして若手を引っ張りたい」と語る若山英史の体を張ったプレーがチームに勢いを与えた。(撮影/張 理恵)



 ラグビーワールドカップとの共催で開催されていた車いすラグビーの世界大会「International Wheelchair Rugby Cup Paris 2023」(フランス・パリ)。
 大会3日目の10月20日には予選ラウンド最終戦の4試合がおこなわれた。

 日本(世界ランキング3位)は地元・フランス(同6位)と対戦。49-50で惜敗するも、プールBを1位通過して準決勝進出を決めた。

 日本は、試合開始直後からフランス陣内深くに切り込み、強いプレッシャーをかける。それに耐えるフランスからは、この一戦にかける気迫が感じられた。
 息をつく暇がないほどの壮絶なバトルが繰り広げられた。

 一進一退の攻防が続く中、試合が大きく動いたのは前半終了間際。日本の『距離感』のズレがパスミスを立て続けに引き起こし、そこにすかさず飛び込んだフランスがターンオーバーを奪って3連続得点。
 日本は23-27の4点ビハインドで試合を折り返した。

ハーフタイムに円陣を組み再び心をひとつにした日本代表。(撮影/張 理恵)
フランスのスピードスター、セバスチャン・ベルダン(左)と走り合う池崎大輔(右)。(撮影/張 理恵)

 ハーフタイム、日本の円陣ではベテランも若手も関係なく積極的な会話が交わされる。動きを確認し、仲間の発言に大きくうなずく
「気持ちが切れることはなかった」と、小川仁士。
 再び心をひとつにして、信じた。

 第3ピリオド、日本のあきらめないプレーが大きな流れを引き寄せる。相手のトライラインぎりぎりまでディフェンスを敷き、ノートライを連発させた。
 オフェンスでは、バイスキャプテンの橋本勝也がフランスのスピードスターを1対1で抜き去り、わずか4分の間に2つのターンオーバーを奪って8得点を挙げる大車輪の活躍で同点に持ち込んだ。

 終盤に差し掛かっても両チームのハードワークが続く。残り時間7.8秒で49-50。日本は懸命にゴールを目指すが、トライラインの7、8メートル手前で試合終了のブザーが鳴り試合終了。
 日本は悔しさをにじませるも、ただ、そこに涙はなかった。「自分たちがやれることはやった」と語る若山英史の言葉がその状況を説明した。

 プールBは日本、フランス、アメリカの3チームが2勝1敗で並び、得失点差により日本が1位通過、そしてフランスが2位で準決勝進出を決めた。

 プールAでは、クロスゲームを制したカナダ(同5位)がイギリス(同4位)を1点差で振り切り48-47で勝利。予選ラウンド全勝で準決勝進出を決めた。
 また、オーストラリア(同2位)がデンマーク(同7位)を57-50で下し、2勝1敗の2位で準決勝へと進んだ。

 東京パラリンピック金メダリストのイギリス、世界ランキング1位のアメリカは、5-8位決定戦へとまわることとなった。

【10月20日(大会3日目) 試合結果】
◎プールA
イギリス ● 47-48 〇 カナダ
オーストラリア 〇 57-50 ● デンマーク

◎プールB
日本 ● 49-50 〇 フランス
アメリカ ○ 48-35 ● ニュージーランド

羽賀理之は試合後、「気持ちを切り替え、準決勝で最高の試合をしようとチームで確認した」と話した。(撮影/張 理恵)
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