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W杯準決勝で番狂わせ狙うアルゼンチン 打倒NZへ「人生最高のプレーをし、すべてを捧げる」

2023.10.20

パッショネイトに全力で挑むアルゼンチン代表“ロス・プーマス”(Photo: Getty Images)


 ラグビーワールドカップで8年ぶり3度目のトップ4入りを果たした南米の情熱的な男たち、アルゼンチン代表“ロス・プーマス”が、パリ郊外のスタッド・ド・フランスで現地時間10月20日におこなわれる準決勝でニュージーランド代表“オールブラックス”に挑む。

 3度のワールドカップ優勝を誇るニュージーランド代表とは過去36回対戦し、2勝1分33敗。
 英国最大のブックメーカーのひとつであるウィリアムヒルは、ニュージーランド勝利に「1.08倍」のオッズをつけたのに対し、アルゼンチン勝利は「9.00倍」。19点のハンディキャップをつけてもニュージーランドの勝利を予想する人が多く、下馬評は低い。

「ニュージーランドはナンバーワンのチームだ。難しい挑戦であることはわかっており、歴史は我々に有利ではないが、それを変えるのは我々次第だ。チャンスはあるし、準備はできている」

 そう語るのは、2020年からアルゼンチン代表のコーチングに携わり、2022年から指揮を執るマイケル・チェイカ ヘッドコーチだ。かつてオーストラリア代表をワールドカップ決勝に導き、世界最優秀コーチに選ばれたこともあるチェイカの影響は大きかったか、アルゼンチン代表は2020年11月に中立地のシドニー(オーストラリア)でオールブラックスから歴史的初勝利を挙げ、昨年8月には敵地クライストチャーチで下し、大きな自信をつけた。

「それ以来、私たちがやってきたこと、その過程で経験したすべての成功と失敗を、この戦いで活かす必要がある」(チェイカHC)

 アルゼンチン代表は、準々決勝からスターティングメンバーを1人だけ変更。SHトマス・クベッリに替わり、日本代表戦でも先発したゴンサロ・ベルトラノウが9番をつける。アシスタントコーチのフェリペ・コンテポーミは、「スクラムハーフ3人全員が最高の状態だった。この決定は戦略的なものだ」と説明した。

 中心選手のひとりだったFLパブロ・マテーラがプールステージ最後の日本代表戦でハムストリングを断裂し、離脱したのは大きな痛手となったが、FW3列はマルコス・クレメルとファン・マルティン・ゴンサレスが奮闘を続けており、準々決勝に続いて8番をつけるファクンド・イサはこの試合が記念の50キャップ目で気合が入る。
 今回のアルゼンチン代表の試合登録メンバーのうち、イサや、キャプテンのHOフリアン・モントージャ、LOのギド・ペティ、トマス・ラバニーニなど7人は2015年のワールドカップ準決勝でもプレーした選手であり、ベンチ入りするSOニコラス・サンチェスは対オールブラックス戦で史上2番目に多くの得点(151得点)を記録した経験豊富な選手である。2015年大会の得点王であるサンチェスは、今大会一度もゴールキックを外しておらず11本すべて決めている。また、38歳219日で試合当日を迎えるリザーブHOのアグスティン・クリーヴィーは、南アフリカのレジェンドであるヴィクター・マットフィールドを抜いて史上最年長でのワールドカップ準決勝出場者となる。

 キャプテンで2番をつけるモントージャは、今大会黒星発進(プールD初戦でイングランド代表相手に敗戦)ながら、常に信念を貫いて困難を乗り越えてきたと振り返り、「自分たちのチームとすべての選手に全幅の信頼を寄せている。我々にとって、人生最高の試合をプレーし、すべてを捧げる瞬間だ」とコメント。南米全土からの大きな応援に応えるためにも必死に戦いたいと語った。

 そして、キープレーヤーのひとりであるWTBエミリアーノ・ボフェリは、昨年8月のクライストチャーチでの歴史的勝利はすべてのタックルが効果的だったと振り返り、「オールブラックスに勝つためには完璧な試合をする必要がある。我々のディフェンスは完璧でなければならない。私たちは再びそれを達成できると思う。勝つための秘策はほかにもあるが、言及しない。それは驚きとして残しておく」とコメントした。


<アルゼンチン代表 準決勝 登録メンバー>
1.トマス・ガジョ
2.フリアン・モントージャ(主将)
3.フランシスコ・ゴメス・コデラ
4.ギド・ペティ
5.トマス・ラバニーニ
6.ファン・マルティン・ゴンサレス
7.マルコス・クレメル
8.ファクンド・イサ
9.ゴンサロ・ベルトラノウ
10.サンティアゴ・カレーラス
11.マテオ・カレーラス
12.サンティアゴ・チョコバレス
13.ルシオ・シンティ
14.エミリアーノ・ボフェリ
15.フアン・クルス・マリア

16.アグスティン・クリーヴィー
17.ホエル・スクラビ
18.エドゥアルド・ベッロ
19.マティアス・アレマーノ
20.ロドリゴ・ブルーニ
21.ラウタロ・バサン・ベレス
22.ニコラス・サンチェス
23.マティアス・モローニ

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