自国開催のラグビーワールドカップで悲願の初優勝を目指したフランス代表だが、前回大会のチャンピオンである南アフリカ代表との死闘に28-29で敗れ、準々決勝で姿を消すことになった。
現地時間10月15日、パリ郊外のサンドニにあるスタッド・ド・フランスでおこなわれた注目の大一番。先制したのはフランスだった。序盤、今大会中に顔面を骨折するも手術を経て戦列復帰したキャプテンのSHアントワンヌ・デュポンがキックも巧みに使ったプレーメイクでチームを勢いづかせ、前半4分、ラインアウトから力強いドライビングモールでゴールに迫り、連続攻撃をPRシリル・バイユが右隅にフィニッシュして約8万人収容のスタジアムが沸いた。
対する南アフリカは7分にもピンチを迎えたが、LOエベン・エツベスが懸命に腕を伸ばして相手のパスをカットし、味方側にボールをはたいて自陣深くから脱出。そして1分後、ハイボールの競り合いでこぼれた球を拾ったグリーンジャージーの14番、カートリー・アレンザがゴールへ走りきり、両チームともコンバージョン成功で同点となった。
流れを変えた南アフリカは18分にもハイキックからチャンスを作り、こぼれ球を手にしたCTBダミアン・デアレンデが大きくゲインしてゴールに迫り、仲間のサポートもついてたたみかけ、最後はデアレンデがインゴールに突っ込んで勝ち越しトライとなった。
それでも、優勝候補同士の戦いはシーソーゲームとなり、フランスは22分、敵陣深くに入っての連続攻撃でペナルティキックを得ると、SHデュポンが速攻を仕掛け、パスをもらったHOペアト・モヴァカが右隅に同点トライを決めた。
しかし、コンバージョンは南アフリカのWTBチェズリン・コルビが猛チャージで阻み、2点追加は許さなかった。これは最終的に、勝敗を分けるビッグプレーとなる。
すると、南アフリカは26分、ディフェンスでプレッシャーをかけてボールを奪い返すと、CTBジェシー・クリエルが広いスペースへキックでボールを転がし、それを追ったスピードスターのコルビがチェイスに競り勝ってゴールへ走りきり、再びリードを奪った。
だが、フランスは31分に反撃し、ゴール前のパワープレーでPRバイユがトライを奪い返し、同点に追いつく。
ハーフタイム前にはFBトマ・ラモスがペナルティゴール(PG)を決め、22-19と勝ち越して折り返しとなった。
南アフリカは、前半最後に危険なタックルをしたLOエツベスにイエローカードが出たものの、1人少ない苦しい時間帯を耐え、その後、相手に追加点を許したが、6点を追う66分(後半26分)、スクラムとキック&チェイスで相手にプレッシャーをかけてゴール前でのアタックチャンスをつかみ、サインプレーからの連続攻撃でボールを手にしたエツベスが力強いレッグドライブでタックルを振りきってトライ。コンバージョンも決まり、逆転した。
フィジカリティを活かしてフランスにプレッシャーをかけ続けた南アフリカは、68分にFLクワッガ・スミスがブレイクダウンで奮闘して相手の反則を引き出し、途中出場のSOハンドレ・ポラードが自陣から50メートル超のPGを決め、3点を追加した。
自国で悲願の初優勝を成し遂げたいフランスは、73分にPGで1点差に詰め、試合終了間際に死力を尽くして攻め続け敵陣10メートルラインを越えたが、南アフリカが懸命にディフェンスしてSHファフ・デクラークがブルージャージーからボールをはぎ取り、間もなく外に蹴り出して死闘は終わった。
勝った南アフリカ代表は、現地時間21日におこなわれる準決勝で、唯一の北半球チームとなったイングランド代表と対戦する。