後半はつけ入るスキを与えなかった。スクラムで押し切り、フィールドでもフィジカルを押し出すアタックでゲインを重ねていく。後半は6トライで一気に突き放した。
10月15日、埼玉県のセナリオハウスフィールド三郷で日大と拓大が対戦(関東大学リーグ戦)、日大が62-3で大勝を挙げた。日大は今季初勝利となった。
打ち付ける雨と強い風。キックとFW戦がカギになることは確かだった。日大は序盤から体をしっかりと当てにいくアタックで、前半14分までに2トライを奪い日大14-0 拓大。50/22で大きく陣地を稼ぐキックが起点になるなど押し込んだ。しかし、日大自らのミスもあり、勢いに乗りきれてはいなかった。
「2回位あったゴール前のピンチで、規律を保って守り切れたこと」日大主将のFL佐川奨茉が、勝利を大きく手繰り寄せたプレーについて話した。その一つは後半開始早々。すでに日大は26-3とトライを重ねていたが、チームの士気を高めたのはディフェンスだ。自陣深くで相手ボールのラインアウト。モールを組にきた拓大FWを押し返し、ラック・ディフェンスに持ち込む。ここから繰り返しFWのぶつかり合いを挑んできた拓大に対し、一歩も引かず、最後は相手の反則でピンチを凌いだ。
フィジカル・バトルが主戦場の佐川主将は、フィジカル全般ではチームとして自信を持っている。しかし、拓大FWのキーマンたちには警戒を払っていた。
「留学生がFWも3枚もいる中で、コンタクトエリアしっかりそれぞれの役割を果たせた」(日大・佐川主将)
今季これまでの3戦は、昨季下位チームが相手。そこで連敗が続いた理由は、接点の攻防で繰り返してしまう反則、自ら流れを失うプレーにあった。その敗因を潰して、今後の上位陣とのゲームに向かえるのは大きい。復調を期す日大にとって重要な80分になった。
敗れた拓大は、ここまで日大を含む昨季上位陣との4試合で黒星が4つ、連なることに。強い雨と風に見舞われたこの日、重要なスクラムで後手を踏んだのは痛かった。
拓大はスクラムにこだわりを持つチームだ。遠藤隆夫監督は、「積み上げてきた強みが試合で出せていない」と悔しそう。
「組む前の駆け引き、圧力の掛け方などで相手のペースに。安定して自分たちの強さが発揮できるようにならないと。レフリーとのコミュニケーションの要素も大きい」
拓大キャプテン、SH木本真太郎は、順位決定戦にもなってゆく今後の試合に向けて「1試合1試合の準備がすべて」と、試合直後から覚悟を感じさせた。拓大の残り試合は立正大、法大、大東大、昨季6位、7位、8位。それぞれ、日大にのみ星を挙げている相手となる。