連覇へ、大きな壁に挑む。
2019年、日本で開催されたワールドカップで頂点に立った南アフリカは、10月15日(日)にホスト国のフランスと準々決勝を戦う。
相手は大声援を背に受け、勢いにのってプレーするだろう。
さらにこの試合から、キャプテンでSHのアントワンヌ・デュポンがケガから戦列復帰し、9番を背負う。
接戦は必至だ。
今大会に入り南アフリカは、ベンチスタート8人の選手構成を、「FW6人とBK2人」(スコットランド戦)、「FW5人とBK3人」(うちSH2人/ルーマニア戦)、「FW7人とBK1人」(アイルランド戦)、「FW5人とBK3人」(トンガ戦)と、いろんなパターンを試してきた。
10月13日に発表した試合出場予定メンバーを見ると、フランス戦は「5-3」の構成。その点についてジャック・ニーナバー ヘッドコーチは、「(FWとBKの)割合が8-0、7-1、6-2、5-3であっても、チーム選考のうち。交代要員にかかわらず、日曜日に勝利する最高の機会を与えてくれるチームを選びました」と会見の場で話した。
フランス戦では、今大会のスコットランド戦、アイルランド戦と、ビッグゲームで先発したSHファフ・デクラークはベンチスタートとなった。
代わりに9番でスターターを務めるのはコーバス・ライナーだ。
今大会のルーマニア戦で、開始24分で3トライを奪った俊足のSH。トンガ戦でも1トライを奪取している。
アイルランド戦では、ベンチスタートの中の唯一のBKだった。
2019年大会にも出場している。
同大会では2試合に出場し、3トライ。カナダ戦でハットトリックと大活躍した。
スピードあるプレーが持ち味だ。
その才能は、南アフリカ陸上競技界のスプリンターとして活躍し(かつて400メートル走の同国記録保持者だった)、ラグビーでも代表4キャップを持つ父・ヤコさん(故人)から譲り受けた。
自ら仕掛けても、サポートランでも、好走を見せる。
ライナーは10月12日、報道陣の取材を受けた。
現在モンペリエに所属している33歳は、フランスのクラブでプレーしていることが自身にとってアドバンテージとなると考えているか問われ、「試合の日にそれが有利に働くとは言い切れませんが、物事がどう進むかということ、文化的な理解があることは、フランスが何を考えているかということを想像し、解決策を見つける手掛かりになると思う」と話した。
世界一のSHと言われるデュポンがトイメンに立つことについては、「世界最優秀選手の称号を持っています。彼が特別な選手であるということは、(トップ14で対戦する)トゥールーズやフランス代表でのプレーでも証明しています」とリスペクトしていることを示した。
しかし、あくまで重要なことは「(自分たちの)戦術と作戦を機能させること」と落ち着いている。
「チームの全員が与えられている役割を全うする」と誓った。
負けたら終わりのステージに入り、「どの試合にも私たちは勝ちたい。準々決勝であれ、準決勝であれ、負けというのは私たちの辞書にはありません」と話す。
感情に左右されず戦う。全員の役割遂行が戦術を機能させると知っている。
スクラムは、勝利を得るための重要なピースのひとつだ。「フランスでプレーした経験から分かるのは、彼らはそこにプライドを持っているということ。私たちはセットピースで力を示さなければならない」と気を引き締める。
8人のパックが安定するなら、この人のスピードがより際立つ展開に持ち込むことができる。