関東大学対抗戦A第3節の慶大vs青学大が9月30日、小田原市城山陸上競技場でおこなわれた。来年度創部100周年を控え、今季は「大学選手権出場」を目標に戦う青学大が前半健闘し20-17とリード。しかし後半20分、慶大がこの日3本目のラインアウト・モールからのトライを奪い逆転を許した(慶大24-20青学大)。慶大は、さらに1トライを加えて31-20で勝ち、通算2勝1敗とした。青学大は開幕3連敗。
「前半の入りは良かった」
青学大の村松歩ヘッドコーチ(HC)は悔しさをにじませながら語った。
今季チームの強みである、8人で組む低いスクラムが機能した。前半2分、スクラムで慶大が耐え切れず崩すコラプシングを犯した。ここからラインアウトを選択し慶大が反則を重ねるとスキッパーCTB桑田敬士郎主将がPGで先制。
前半、桑田はエリアの優位性も利用した。メインスタンドから見て右側を青学大が選択した。雨上がりの小田原のグラウンドには真夏を思わせる陽ざしが照りつける。慶大は正面に太陽を見る。桑田は試合前のゲームプランに加え、太陽を味方にしたハイパントをあげる、これをキャッチングに優れたWTB川端航聖、榎本拓真が確保する。10分、その川端の左タッチ際のゲインから継続すると右へ大きく飛ばし、榎本がトライを取り切った。桑田もG成功し10-0に。
なかなか敵陣へ入れない慶大はリスタート後、ようやく侵入。青学大の反則でPGを復帰したSO山田響が決めて3点を返す、前半19分、青学大が、ラインアウト投入のボールをすぐに投げ手のHO田中太陽に返し狭いサイドでトライを奪う。桑田は前半27分にもPGで20-3とリードを広げた。慶大は「入りは青山が強いと予想していたが、それ以上だった。受けてしまった」(慶大・青貫浩之監督)。
しかし前半30分を過ぎて徐々に修正、青学大が反則を犯すとCTB永山淳がタッチへ出す。33分、5メートル線の左ラインアウトをモールで押し切りHO中山大暉がトライラインを越える(10-20)。38分にも同じパターンで中山が2トライ目(17-20)。スクラムは優位もモールで押された青学大、村松HCは「モールディフェンスも準備してきたが、慶應はモールのずらし方などを変えてきた」。
後半の見どころは9分すぎ。スクラムで青学大がコラプシングを奪う。ラインアウトから再開すると慶大が反則。ゴール前5メートルのスクラムを迷わず選択。青学大が押して2度のコラプシングを慶大が犯す。さらに続けるとペナルティトライや慶大選手にカードが出てもおかしくない。しかし、慶大は続くスクラムで「自分たちも青山以上に練習してきた」(慶大、右PR岡 広将主将)。意地を見せ、青学大の反則を引き出し、青学大の得点機を凌いだ。
ピンチを脱した慶大。後半20分、得意のラインアウトからHO中山がハットトリックトライで逆転する(24-20)。後半32分には左WTB佐々仁悟のハイパントキャッチ、ランからSH橋本弾介がポスト右へ仕留めた。
慶大SO山田は4本のG、1PGをすべて成功し慶大31-20青学大で制した。
「大学選手権出場に向けて慶應戦をターゲットに部員全員で準備してきたが」。青学大、村松HC。2013年に24-18で慶大を破って以来の勝利まで、もう一歩だった。「選手権は、諦めていません。次の早稲田戦に向けて修正する」。桑田主将は胸を張る。