9月29日にリヨンで迎えた大勝負で、負ければプールステージ敗退という崖っぷちに追い込まれていたニュージーランド代表“オールブラックス”が、シックスネーションズ(欧州強豪国グループ)の一角であるイタリア代表を96-17と圧倒し、ラグビーワールドカップ2023の優勝争いに残った。
オープニングゲームで開催国のフランス代表に敗れたニュージーランド代表だが、これで2勝1敗となり、プールAの2位に浮上した。同組最終戦ではウルグアイ代表と対戦する。
一方、開幕から2連勝だったイタリア代表は、前回4年前の日本大会は台風の影響でオールブラックスと戦えず、待ちに待った大舞台での挑戦となったが、まさかの大敗。しかし、初の準々決勝進出へ可能性は残っており、プールA最終戦では首位のフランス代表に挑む。
ニュージーランドは序盤から主導権を握った。前半6分、敵陣深くに入ってアドバンテージを得ながら攻め続け、CTBジョーディー・バレットのキックパスをWTBウィル・ジョーダンがキャッチしてインゴール右隅に飛び込み先制した。
その後、イタリアにペナルティゴールを許したものの、17分にラインアウトからモールで押しきると、リスタート後にはNO8アーディー・サヴェアが自陣深くから突破して力走で会場を沸かせ、サポートしたFBボーデン・バレットもディフェンダーをかわしてゲイン、WTBマーク・テレアがフィニッシャーとなった。
ニュージーランドはブレイクダウンでもイタリアに圧力をかけてペースを握り続け、22分にはラインアウトからのサインプレーでサヴェアが抜け、早くも4トライ目でボーナスポイントを獲得した。
ニュージーランドのセットピースは安定していて、27分にはスクラムで圧倒して敵陣深くに入ると、ラインアウト・モールからボールを動かし、俊敏なSHアーロン・スミスがトライゲッターとなった。
34分にはSOリッチー・モウンガの巧妙なパスからCTBジョーディー・バレットが抜け、SHスミスが連続トライ。
ニュージーランドの勢いは止まらず、ハーフタイム前にもドライビングモールからゲームキャプテンのNO8サヴェアがインゴールに突っ込み、49-3で折り返した。
意地を見せたいイタリアは48分(後半8分)、敵陣深くに入ってモールから大きく展開し、若きスターのWTBアンジェ・カプオッツォがインゴール右隅に飛び込みトライを奪い返した。
しかし、ニュージーランドはリスタート後すぐ、5番をつけたスコット・バレットのキックチャージからLOブロディー・レタリックのファイブポイントにつながり、その後も手を緩めることなく6トライを追加し、最多4度目の優勝を狙うオールブラックスの実力を見せつけた。
一方、大差をつけられたイタリアは、試合終了間際に自陣深くからチーム一体となって攻め上がり、WTBモンティー・イオアネがフィニッシャーとなり、最終戦につなげた。
敗れたイタリアのカプオッツォは、「とてもがっかりしている。でも、ワールドカップはまだ終わっていない。僕らは頭を高く上げ続ける」とコメント。そして、「この一週間、ニュージーランドはベストな状態ではないという声をたくさん聞いたが、このチームを分析している人なら誰でも、彼らと対戦しに来てもらいたい。彼らは落ち着いており、これからも多くのことが期待されている真剣なチームだ」と語り、オールブラックスの強さを認めた。
一方、快勝してプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた黒衣8番のサヴェアは、「我々は前に出て、前線を支配したかった。フォワードがプラットホームを作り、バックスがフィニッシュを決めた。本当に良かったが、最後に失敗して(トライを奪われて)しまったので、決して満足していない」と振り返り、これから激しさを増していく戦いへ向け気を引き締めていた。