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【RWC2023】主力選手ら復帰のオールブラックス。絶対に負けられぬイタリア戦へ

2023.09.29

NZ代表最多キャップとなるLOサム・ホワイトロック。(撮影/松本かおり)



 ラグビーワールドカップ2023(以下、RWC2023)の第3週目、プールAのニュージーランド(以下、NZ)代表・オールブラックスは、バイウイークで試合がなかった。
 しかしNZ国内はいろんな意味でざわついた。

 RWC2023が始まる前からNZ国内では、オールブラックスは、「アイルランド、南アフリカのどちらと準々決勝で対戦するほうが良いか」という議論が活発だった。 
 そして迎えた9月24日の日曜日の朝(NZ時間)プールBの大一番で、アイルランド が 南アフリカを激戦の末に13-8で勝利した。

 どちらと当たっても厳しい試合になることを再認識した試合内容だった。それくらい、とてつもなくレベルの高い試合を両チームは見せた。
 NZ国内のラグビーファンには、両チームは「我々(オールブラックス)より上だ」と認識した人も多かっただろう。

 その翌日、プールCでは、オーストラリアがウエールズに6-40の大差で敗れた。
この結果により、タスマン海峡を挟んだオールブラックスのライバルチームがRWCで初めてプールステージを通過できないことが濃厚となった。

 そんなライバルに対し、いつもはからかうことが多いが、今回ばかりは、どちらかというと同情の方が大きいように思える。
 そこには『明日は我が身』 まではいかないが、近年のオールブラックスの不調が背景にある。

 復活の兆しを見せながらも、RWC2023開幕直前には南アフリカに大敗し(7-35)、開幕戦ではフランスに完敗した(13-27)。そんな姿を見ているだけに、自分たちとはまったく関係ないとは言い切れないと思ったのだろう。
 少なくともオールブラックスの選手たちは、オーストラリアの敗戦を見て気持ちを引き締めているようだ。

チームのInstagramより

◆主力のケガ人が復帰! サム・ホワイトロックはNZ最多キャップへ

 2大会ぶりの優勝を目指すオールブラックスのプール戦は残り2試合だ。
 NZ国内では、準々決勝に向けてのオールブラックスのメンバー構成がトークバックラジオなどで話題となっている。
「ウィル・ジョーダンをFBで使うべきだ。ダミアン・マッケンジーを入れて劣勢な時にゲームに変化をもたらせるべきだ」などなど、ラグビー王国のファンの議論は常に熱い。

 そして試合の2日前にイタリア戦のメンバーの発表があり、ナミビア戦から先発メンバーが9人変更となった。
 4人のケガ人が一斉に戻ってきた事もあり、ベンチも含めて大幅の変更となっている。

 主力のケガ人の復帰は大きなニュースだ。その中でもFLシャノン・フリゼルの復帰は、最も注目された。長い期間試合から遠ざかっているが、いきなりの先発メンバー入りで背番号6を付ける。
 今季急成長を見せてFWに勢いをつけてきただけに、ノックアウトステージに向けて明るい材料となりそうだ。

 キャプテンのFLサム・ケインは、ベンチスタートで復帰となる。ナミビア戦に続いてダルトン・パパリィイが背番号7を付けて出場となる。
 フリゼル、パパリイ、そしてNO8アーディー・サヴェア。ボールキャリーの強い選手をFW第3列に並べた。彼らがディフェンスを突破する場面が見られれば、チームに勢いがつくだろう。

 BKに目を向けると、突破役として期待されるジョーディー・バレットの12番での復帰も、フリゼルと並んで注目された。リーコ・イオアネとのCTBコンビの復活は頼もしい。

 他の主力も先発に戻り、イアン・フォスターHCの信頼の厚いメンバーが並んだ、ベストなBKラインとなっている。

 ベンチを見てみると、HOにはサミソニ・タウケイアホではなく大ベテランのデイン・コールズを入れてきているのは興味深い。
 好調時のパフォーマンスを取り戻してきているだけに楽しみだ。

 イーサン・デグルートが危険なタックルにより2試合の出場停止処分が科せられた。それにより新人PRタマティ・ウイリアムズがベンチ入りをしてワールドカップ待望のデビューになる。
 140キロの巨漢PRが大暴れする姿が見られるかもしれない。

 そして、フリゼルに続いて待望の復帰となるPRタイレル・ロマックスがベンチ入りをした。
 30針を縫う切り傷でスコッド離脱も考えられたが、プール戦の途中で間に合った事は嬉しいニュースだ。
 今回はベンチスタートとなったLOサム・ホワイトロックは、出場すれば149キャプとなり、リッチー・マコウを抜いてオールブラックス史上最多キャップの選手となる。

 BKの控えに目を向けると、SHキャム・ロイガード、SO/FBマッケンジーの超攻撃的コンビがいる。イタリア戦でもアピールできればノックアウトステージで彼らのメンバー入りの可能性が高くなりそう。

 対戦相手のイタリアの指揮官はNZ人のキアラン・クロウリー。元オールブラックスだ。
 チームはクロウリーHCの指揮により、近年着実に力を付けている。NZ出身だけあり、はやいテンポの展開ができるチームを作っている印象だ。
 もちろんNZ国内のメディアからも取材を受け、NZ国内TVのニュースでも紹介された。逃げずに真っ向勝負で攻撃的ラグビーを見せるとの事。序盤から激しい攻防を見ることができそうだ。

 オールブラックスの指揮官、フォスターHCは「我々は過去2年間の彼ら(イタリア)の成長を全面的に尊重している」と語る。そしてオールブラックスの選手たちからもイタリアを警戒しているコメントが多く聞かれた。
 万が一負けることがあれば、プールステージでの敗退が濃厚となる。イタリア戦での勝利はマストだ。

 準々決勝に向けて弾みをつけるためにも、しっかりとしたラグビーをして、ギアを上げていかなければいけない。
 2週間試合がない間に激しいトレーニングもおこなってきた。オールブラックスに抜かりはない。
 NZ国内のラグビーファンの不安を払しょくさせるパフォーマンスを期待したい。


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