ラグビーワールドカップに7度目の出場で初勝利を目指したナミビア代表だったが、2023年フランス大会も全敗に終わった。「ヴェルヴィッチャース」の愛称を持つ世界ランキング21位のこのアフリカチームは、現地時間9月27日にリヨンで最終戦を迎え、同17位のウルグアイ代表と対戦し前半をリードしたものの、逆転され26-36で敗れた。
最高峰の舞台でプールAに入ったナミビアは、イタリア、ニュージーランド、フランスといった強豪を相手に3試合トータルでわずか11得点しかしていなかったが、この日は開始早々にスコアボードを動かした。キックオフから1分も経たぬ間に、ウルグアイのパスが乱れ、ボールを拾ったWTBガースウィン・ムートンが自陣から約60メートル独走で先制した。
その後、FLチウエ・ウアニヴィが強烈なタックルを決めるなど、チームは活気づいた。
11分にはハイボールから相手にプレッシャーをかけてボールを再獲得、フェイズを重ねて敵陣22メートルラインに迫ると、FWの力強い縦突進でディフェンダーを寄せてワイドに展開し、背番号11のJC・フレイリンが左外を抜けて連続トライとなった。SOティアン・スワネプールはタッチライン近くの難しい位置からコンバージョンを決め、14-0とした。
しかし、ウルグアイは19分にゴール前のスクラムでプレッシャーをかけ、連続攻撃で走り込んできたFBバルタサール・アマージャが5点を奪い返す。28分にも敵陣深くに入ってラインアウトからモールで押し込み、点差を詰めた。
それでも、ナミビアはペナルティゴール(PG)で得点を重ねて20-12で折り返し、後半の入りもよく、ハイボールからプレッシャーをかけて相手の反則を引き出し、PGでリードを広げた。
だが48分(後半8分)、ウルグアイがゴール前のスクラムで圧力をかけ、ナミビアの右PRにイエローカードが出てしまった。直後、ウルグアイはスクラムの組み直しで再び優勢となってボールを動かし、FBアマージャがインゴール右隅に飛び込みトライ。SOフェリペ・エチェベリーが厳しい角度からのコンバージョンを決め、4点差に詰めた。
勢いがついた数的有利のウルグアイはさらに54分、自陣から攻め上がってパスはいったんカットされたが、こぼれ球を拾ったSHサンティアゴ・アラタがハーフウェイから軽快なステップでディフェンダーをかわしてゴールへ走りきり、逆転した。
踏ん張りたいナミビアだったが、61分と63分に危険なタックルが続いて自らを苦しめる。ひとりはイエローカード(10分間の退出)、もうひとりはレッドカードで退場となり、ラスト20分間は劣勢が続いた。
圧倒的有利となったウルグアイは66分にも攻め込み、トライ獲得で点差は広がった。
ウルグアイに傾いた流れは変わらず、結局、ナミビアは悔しい惜敗でラグビーワールドカップ2023の戦いを終えた。
ナミビアのゲームキャプテンを務めたウアニヴィは、自身も危険なタックルでイエローカードをもらってしまい、規律の乱れがチームの奮闘を台無しにしたと反省する。それでも、「試合には負けましたが、私は選手たちをとても誇りに思っています。すべてをやり尽くしました」と胸を張った。
指揮を執った南アフリカ人のアリスター・クッツェー ヘッドコーチは、ナミビアラグビーの将来について、「我々はセットピースを確実に鍛えなければならないし、選手たちが成長できるプログラムを提供しなければならない。(ナミビアは)小さな国で奥行きがあまりないので、彼らのために高パフォーマンスの計画を導入する必要があります。それは、このワールドカップ後の次のステップです」と語り、育成・強化システムの重要性を強調した。そして、今回のワールドカップでナミビア代表は非常に多くのことを学んだと振り返り、大きな声援を送ってくれたフランスの観衆に感謝した。
ナミビアは0勝4敗で終了。1勝2敗となったウルグアイはあと1試合あり、10月5日にニュージーランドに挑む。