強くなってピッチに戻る。
李承信(り・すんしん)が、9月28日(木)におこなわれるサモア戦の試合出場予定メンバー、23人に入った(22番)。
プールDの日本代表はチリに勝ち、イングランドには敗れた。
ノックアウトステージ進出に向け、サモア戦、アルゼンチン戦(10月8日)と、負けられない試合が続く。
その中で李は、大会3試合目にして初めて出場機会をつかみそうだ。
ピッチに立つなら試合終盤。本人も、「自分が後半のいつ(試合の中へ)入るか分かりませんが、ゲームをクローズする役割」と理解する。
「後半のプレッシャーがかかる時間帯に、どういうオプションを選択し、チームがどう攻めるのか。全員が意思疎通できるように、10番としてリードしてほしい、と(首脳陣から)言われています」
スコアや状況を見ながら、各局面で最良の判断をする。チームを動かす。それが求められている役割だ。
最終的に、チームを勝利に導く。
昨年(2022年)のウルグアイとの第2テストで途中出場。初キャップを得た。
それ以来、W杯直前のイタリア戦まで、ほとんどの試合に出場してきた。
初キャップ戦から今季のイタリア戦まで、オールブラックスA戦2試合も含めた日本代表戦の12試合中11試合に出場。
そのうちの6試合は先発で、W杯直前の4つのテストマッチ中3戦で10番を背負ったとあれば、世界が見つめる大舞台でも、同じ番号を背負う資格を得たように見られた。
しかし、いざW杯が始まってみれば、チリ戦、イングランド戦ともメンバー外に。
その状況を、「勝たないといけない、結果を残さないといけないというプレッシャーを自分にかけ過ぎてしまい、自信を持ってプレーできなくなってしまった」と話す。
ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチとたくさん話した。メンタル担当のデイビッド・ガルブレイス コーチとも。
1週間かけて、試合に臨むメンタルを作るプロセスについてのアドバイスを受け、失いかけていた自信を取り戻したという。
一日一日のやるべきこと、ゴールをしっかり決め、それを積み重ねるようにした。
結果、「これだけのことをやってきたのだから、という自信を持って試合に臨めるようになった」と話す。
そうやって掴んだ今回のメンバー入りを、仲間たちが喜んでくれた。
例えばPRの垣永真之介。メンバー外の選手たちは試合前日、走り込みなどの厳しい練習を課される。
チリ戦、イングランド戦の前、悔しい思いを噛み締めながらともに走った先輩は、「あの練習以上に試合で走ってくれ」とエールを送ってくれた。
その言葉を受け、チームの一体感の高まりを強く感じた。ピッチに立つ責任も。
「ジャパンに入ってから試合に出られることが多かった。でもそうでなくなって、メンバー外の選手たちの気持ちをあらためて理解できたと思います」
いま、その思いをエナジーにできるようになった自分がいる。
試合前日(9月27日)の会見で、「モチベーションもメンタルも、すごくいい状態です。試合ができる。わくわくしています」と話した。
自信を持ってプレーすることは自分らしさを出すことであり、勝利をつかむのに不可欠な要素だ。