ラグビーシーズンの到来を感じさせる爽やかな秋晴れとなった9月24日。トップキュウシュウAリーグの試合が、福岡県古賀市のFFG(福岡ファイナンシャルグループ)古賀グラウンドでおこなわれた。
チーム発足2年目のルリーロ福岡が今季2戦目となるFFG戦に53-11と圧勝し、開幕2連勝とした。
昨シーズン、初参戦のトップキュウシュウリーグで優勝を飾ったルリーロ福岡だが、唯一の敗戦が初戦の対FFGブルーグルーパーズだった(12-16/2022年9月18日)。
昨年の「リベンジマッチ」ということもあり、立ち上がりは硬さがあった。しかし、プレーごとに選手たちの緊張も徐々にほぐれた。
前半10分には相手SHのハイパントからキックカウンターで右へ展開し、最後は右WTBの井上柊人(いのうえ・しゅうと/福工大卒)が、右端に先制トライを決めた。
その後ルリーロ福岡は、再三に渡ってFFGブルーグルーパーズの22メートル陣内に攻め入るものの、得点には至らなかった。両チームとも強風の影響を受け、キックミスやハンドリングミスが続いた。
そんな中、ゲームに大きな影響を与えたのはスクラムだった。
ルリーロ福岡は、マイボール、相手ボールとも、終始激しいプレッシャーを与え続けた。
スクラムでのプレッシャー、キックレシーブからのカウンターアタックを果敢に攻めるルリーロ福岡に対し、FFGブルーグルーパーズは徐々にPKが増えた。
前半18分にはハイタックル、直後の19分にはノーボールタックルと、2枚のイエローカードが出された。
再度スコアを動かしたのは、前半3分に負傷選手との交代でピッチに入った背番号20、トンガ出身のフィナウ・マカヴァハ(花園大卒)だった。
前半26分、持ち前の走力とフィジカルを生かしたカウンターアタックで、左端にトライ。3分後の前半29分には、FW、BK一体となった連続アタックから、再び背番号20がトライまで持ち込んだ。
FFGブルーグルーパーズのシンビン選手が戻っても、ルリーロ福岡の勢いは止まらなかった。
前半39分、左WTB屋宜ベンジャミンレイ(流通経済大卒)が、前半4本目のトライを左端に決める。26-0で前半を折り返した。
後半は、開始直後から積極的にアタックを仕掛けるFFGブルーグルーパーズが先に得点した。ルリーロ福岡のオフサイドを誘い、ペナルティキックで3点を奪った。
その後は、風上に立つルリーロ福岡がスクラムとモールを起点にアタックし続け、徐々に点数差を広げた。
後半35分にはFFGブルーグルーパーズのHO久保諒(くぼ・りょう/福大卒)がこの試合チーム初めてのトライを奪ったが、ルリーロ福岡もトライの追加で試合を締めくくった。
背番号23のリサラ・アマナキレレイ(トンガカレッジ卒)が敵陣でのインターセプトから走り切った。
試合後、ルリーロ福岡の後藤悠太ヘッドコーチは、「昨年リーグ優勝したことに対して驕らずに準備をできたことが良かった。これからもルリーロらしさを大切にして、まずはトップキュウシュウ優勝、そしてその後の3地域社会人リーグで結果を残して、リーグワン入りすることがチームの目標です」と語った。
FFGブルーグルーパーズの倉員光弘監督は、「セットプレーでの差が大きく影響した試合だった。自ボールスクラムからの速攻など、対応ができている面もあったが、次戦に向けてはチームとしてチャンス時のアタックの精度を高めて、リーグ優勝を目指したい」と話した。
チーム発足時の初練習から参加しているメンバーで、この日先制トライを決めたルリーロ福岡の右WTB井上柊人は、「チームの最初の練習はたった3人から始まった。正直すぐに試合をするのは難しいのではとの思いもあったが、それでもメンバーが集まってくれたから試合ができたし、勝つこともできた」。
チーム発足時のことを考えれば、現在までの歩みは夢のようだ。喜びを口にした。。
チーム発足からリクルートや営業活動に奔走するルリーロ福岡の島川大輝代表は、日に焼けた顔をほころばせながら、「ホッとしています。やっとチームっぽくなってきたかなと感じています。チーム発足時から地元のファンの方たちとともに歩んできたので、その輪が広がっていることが有難いです」と笑顔を見せた。
試合後、ルリーロ福岡は円陣を組んで、チームで「勝利の歌」を歌った。
チームスタッフの米村淳平さんが、2022年に活動休止した宗像サニックスブルースで歌われていた「勝利の歌」を、ルリーロ版に改良した歌だと教えてくれた。
公式戦の前に歌うフィジーの歌は、フィジー人選手2名が多様性を運んでくれることに敬意を表し、チーム全員で去年から歌い始めた。
設立2年目の新しいチームだ。
しかし、いろんな文化や想いを引き継いで、今がある。
円陣の上の白い雲が、高みを目指すチームの翼のように見えてきた。