フランスで開催中のワールドカップは、第3ラウンドに入り、それぞれのプールで、ノックアウトステージ進出を目指した戦いが続いている。
日本がイングランド、アルゼンチン、サモア、チリと戦っているプールDは、9月22日におこなわれたアルゼンチン×サモアが終了した時点で全チームが2試合を消化した。
イングランドが勝ち点9で首位に立つ。アルゼンチンをジョージ・フォードの正確なキック(3DG+6PG)で蹴り倒し(27-10)、日本から4トライを奪った(34-12)。
9月23日にはチリ戦も控えており、さらに勝ち点を伸ばす可能性は高い。
2位につけるサモアは、初戦でチリから5トライ奪取。ポーナス点を獲得して勝ち点5とした(43-10)。
9月22日のアルゼンチン戦では最後の最後にPGを決められて10-19とされ、ボーナスポイントを逃してしまった。
日本はチリ戦で6トライを奪い、ボーナス点込みの勝ち点5を獲得(42-12)。
しかしイングランド戦では途中まで接戦を演じるもノートライ。最終的に12-34と引き離された。
2試合終了時で勝ち点5はサモアと同数も、得失点差でサモアが2位、日本が3位となっている(サモア+24、日本+8)。
暫定4位のアルゼンチンは、初戦のイングランドに完敗(10-27)。続くサモア戦に勝ったものの19-10のスコアで勝ち点は4しか獲得できなかった。
残るチリ戦、日本戦に猛ラッシュをかけてくるだろう。
チリは、日本、サモア相手に情熱ほとばしるパフォーマンスを見せるも、それを80分続ける力は、まだない。
ただ、2試合で3トライを奪った。攻守ともに果敢に前へ出る姿勢で観る者の共感を得ている。
2位以上に入り、ノックアウトステージに進みたい日本。残すサモア戦(9月28日)、アルゼンチン戦(10月8日)へ、必勝を誓う。
チームはニースでのイングランド戦を戦うためにモナコに滞在していたが、すでにベースキャンプ地のトゥールーズへ戻った。
オフを経て、9月23日からはトレーニングを再開する。
ここまでの2戦、チームへの貢献度の高さをスタッツから見ると、チリ戦で6回のコンバージョンキックをすべて成功し、イングランド戦でも4PG。プレースキックを100パーセント成功(10/10)させているSO松田力也の安定感が際立つ。
「右肩を上げる」フォームのコツをつかみ、スーパーブーツぶりを発揮中だ。
ジャック・コーネルセンのハードーワーカーとしての働きも大きい。
ここまでの2試合とも80分のフルタイム出場。チリ戦では19タックルとチーム最多を記録。イングランド戦でも15タックルとチーム4番目の数字だった。
それぞれNO8、LOでのパフォーマンスと、ポジションに関係のない仕事量が評価される。
イングランド戦ではコーネルセンがLOに入り、バックローにはリーチ マイケル、ピーター・ラブスカフニ、姫野和樹で組んだ。
この3人もよくタックル。ラブスカフニが19、リーチが18、姫野が16とチームのタックル数トップスリーを独占した。
負けられない戦いが続く。
タックルに体を張りながらさらにアグレッシブに攻め、トライを重ねたいところだ。
2位以上を競い合うサモア、アルゼンチンとの順位争いを考えれば、それぞれの試合で勝ち点5を積み重ねたい。
敗れたイングランド戦でディフェンス面でのスタッツが目立ったのは、長く攻められた試合内容もある。
同試合のポゼッション、テリトリーは、それぞれ66パーセント、61パーセントと、イングランドが大きく上回った。
赤白のジャージーがキックを多く使う戦術で戦った背景もあるものの、ボールを扱った回数はイングランドの326回に対し、日本は192、ボールキャリー数はイングランドの130に対し日本は72。
WTB松島幸太朗やFBレメキ ロマノ ラヴァらの個人技を使ったラインブレイクはあったが、狙っていたような、振り回し、相手を疲れさせるような展開には持ち込めなかった。
攻撃的に戦う軸はぶらさず。対戦相手によって、戦い方を微調整できるスキルの高さが日本の持ち味だ。
サモア戦では、チームがモメンタムを得る快勝を手にしたい。
◆資料提供◎Opta