ラグビーリパブリック

【RWC2023】WTBに20歳のルイ・ビエル=ビアレ。フランス、ナミビア戦メンバー発表

2023.09.20

ダーウィンの「進化論」を持ち出したとファビアン・ガルチエHC(写真右)。(撮影/福本美由紀)



  開幕戦でNZに27-13で勝利し、理想的なスタートを切ったフランス代表。
 しかし初戦から大きくメンバーを変えて臨んだ6日後のウルグアイ戦(9月14日)は27-12と勝ちはしたものの、「現体制になって以来最悪の試合」と現地では批判された。

 試合後の会見で、「この試合内容に満足しているか」と記者からの質問に、「みなさんと同じ気持ちです。でも、ゲームコントロールもできず、得点もできず、我々のプレーもできない試合で勝利できたことは重要。しっかりプレーしようとしていたグラウンドの選手たちにとって、神経的にも心理的にも難しい試合だった。ウルグアイは全てのセクターで我々を阻み、苦しめた。強豪国との戦いに飢えているチームだ」とファビアン・ガルチエ ヘッドコーチ(以下、HC)も渋い表情だった。

「重要なのは勝利。選手に伝えたのは、勝利すること。デモンストレーションをするためにここにいるのではない。完璧なプレーをするためではない。第一の目的は試合に勝つことで、その目的には到達した。フラストレーションはむしろ選手の方が感じている」と続けた。

 9月19日、9月21日におこなわれるナミビア戦(マルセイユ)のメンバーが発表された。
 NZ戦に出場していた選手たちが戻ってきた。NO.8のグレゴリー・アルドリットは前日の練習で膝の痛みを訴えたため、大事をとって急遽休ませることになった。

 会見で、「今回、NZ戦のメンバーを選んだのは、事前に予定されていたのか? それともウルグアイ戦の結果を受けてのことか?」との問いに、指揮官は「「試合メンバーに関しての長期のビジョンはない。試合のメンバーは、その前の試合の翌日にスタッフがそれぞれ提出し、その時の感覚で私が数日かけてまとめて決めている」とした。

フランスラグビーの『X』(旧Twitter)より

「もちろん大会を通してのプレー時間やローテーションのビジョンは持っているが、その時のパフォーマンスや選手間の競争を観察して選んでいる。開幕戦に関しては明確なメンバー構想があった。その時のベストチームを編成し、試合に勝った。グラウンドでプレーした選手だけでなくグループ全体の成功だ。その6日後に、しかもリールに移動してのウルグアイ戦だった。当然、NZ戦のメンバーはリカバリーが必要だった」

  カルチエHCは、さらに続けた。
「グループ内でポテンシャルを考慮してウルグアイ戦のメンバーを選んだ。そしてウルグアイ戦からナミビア戦までは7日あり、NZ戦に出ていた選手を出場させることができた。昨日グレゴリー・アルドリットが不調を訴えたため、変更しなければならなかったが、今回のメンバーも決してウルグアイ戦に対するリアクションでもなければ、方針変更でもない。我々は、我々のメソッドに沿って機能しており、試合の日程に適応して動いている。ダーウィンの『進化論』のようなもの。最も強い種や最も賢い種ではなく、適応する種が生き残る」。
  現在の最強チームを選んだことは確かだ。

 また、「開幕前に『今大会はボールインプレーの時間が長くなり、ポゼッションもこれまでより多くなる』と言っていたが、この2戦でその様子が見られないことはどう分析しているか?」と尋ねられると、「ワールドカップ(以下、W杯)は、シックスネーションズや、夏と秋のテストマッチとは異なる。開幕して2週が過ぎ、多くのチームが2試合を消化した。プール内のチーム間の差は伯仲している時もあれば、大きな差がある時もある」とした。

「さらに選手のローテーションもあり、今の時点ではプール戦は必ずしも有益な情報が得られるとは言えない。そのような情報は決定的な試合で得ることができる。我々は決定的な試合を一つ経験した。NZ戦だ。重要な試合だった。W杯での1つ目の決勝戦だった。そして準々決勝での南アフリカが2つ目の決勝戦になるだろう。それから準決勝があり、もう一つ決勝戦がある。つまり、ランキングの上位4チームが対戦する時や、上位2チームが対戦する時は特別な試合になる。ランキングとその試合にかかっているものも考慮しなければならない」

 8月の準備試合でふくらはぎを負傷したPRシリル・バイユが戻ってきた。また、WTBには20歳のルイ・ビエル=ビアレが抜擢された。
 ガルチエHCは選考理由を、「試合に出るたびにとても良いパフォーマンスをしており、再びこのジャージーを着るに値する。このポジション争いの中、本気でジャージーを掴み取りにきた選手だ」と説明する。

 ビエル=ビアレはウルグアイ戦でW杯に初出場し、初トライをあげた。「すでに1試合経験してプレッシャーから解放されたか?」と記者に問われ、
「解放されたかどうかわからないけど、続けて試合に出ることができてとても嬉しい。1戦目とか2戦目とか関係なく、常に強い意志を持って、しっかりプレーしたいという気持ちがある。ここまであっという間だったし、あまり実感がないけど、その方がいいのかもしれない。あまり考え過ぎずに、ただ試合に行き、ラグビーがしたいという気持ちだけ」と答えた。

「代表でも、(所属クラブの)ボルドーでもプレーできることがとても嬉しい。もちろん先輩たちからもアドバイスをもらっている。そんないろいろなことがあって、自分自身でいることができている。でも、決してスタメンになったとは思っていない。ギャバン(ヴィリエール)が2試合続けて80分プレーしたからだと思っている。もちろん代表でレギュラーになることが目標だから全力でベストな試合をするけど、メンバーを選ぶのはコーチで、スタメンになるためには、いい試合をしなければならないということはわかっている。でも特に自分にプレッシャーをかけることもない」

 9月に大学の補講を受ける予定だったビエル=ビアレ、予想もしていなかったW杯出場で大学で厳しい状況に追い込まれることになるが、「でもW杯だから」と笑顔で答えた。
 ふたたび、赤いヘッキャが駆け抜けるところを見ることができるだろうか。

まだハタチ。写真左が大学生のWTBルイ・ビエル=ビアレ。(撮影/福本美由紀)


Exit mobile version