「前半はプレッシャーを感じ、思うようにプレーできず、簡単にトライを許してしまった。さらにジュリアン・マルシャン(HO)を負傷で失った。この試合は最悪のシナリオで始まった」
ファビアン・ガルチエ ヘッドコーチ(以下、HC)の開幕戦後の記者会見の冒頭である(27-13でNZに勝利)。
「しかし、ペナルティを犯さず賢くプレーを続けながら、少しずつゲームのコントロールを取り戻した(試合を通じてフランスのペナルティは4つだけ)。さらに後半から入ったフィニッシャーがエネルギーを与えてくれ、試合の流れを変えることができた。修正点はあるが、試合の入りに失敗したにもかかわらず立て直し、主導権を握り、勝利することができ、チーム全体に勢いを与えてくれる」とポジティブに評価した。
また主将のアントワンヌ・デュポンも、「あまり良い内容の試合ではなかったが、開幕戦でNZ相手に30点近く取ることができたのは超ポジティブ」と言いながらも、「でも高いレベルを維持するには、悪かったところを見なければならない。特に前半はもっと良くできたはず」と今後に向けての修正点を見据えている。
そして第2戦目のウルグアイ戦のメンバーが発表された(9月14日/リール)。
開幕戦から大きくメンバーを入れ替えた。
「3年間この開幕戦を念頭に置いて準備してきた。その試合が終わり、素早く切り替えて次の対戦相手のウルグアイにフォーカスするために、フレッシュさ、モチベーションの高さ、そして選手間の補完性という観点で、現在のベストなフランス代表チームを選んだ」とガルチエHCは話す。
マキシム・リュキュとアントワンヌ・アストイがHBを組み、ゲームをコントロールする。
FBにメルヴィン・ジャミネが入り、CTBヨラム・モエファナは連戦。開幕戦でベンチスタートだったアルチュール・ヴァンサンとコンビを組む。
WTBで連戦のギャバン・ヴィリーエールとペアを組むルイ・ビエル=ビアレは20歳と87日でワールドカップの試合に出場し、最年少記録を更新することになる。
最も注目されているのが、アントニー・ジュロンの復帰だ。今年のシックスネーションズのスコットランド戦で前十字靭帯を断裂し、3月6日に手術を受けてから約6か月で戦列復帰を果たす。
しかもW杯という大舞台でキャプテンとしての復帰である。
「アントニー(ジュロン)は、2021年のオーストラリア遠征でもキャプテンを務めた。トップ14のプレーオフと重なるため、多くの主力を欠き、またオーストラリアでは新型コロナウイルス感染拡大防止対策の一環でホテルから外出できず、10日間で3試合を消化するという難しい状況だったが、アントニーはチームメイトを一つにまとめることに成功した。我々のグループを作り上げていく上でとても重要な遠征となった。それ以来、アントニーはこのグループに欠かせない存在となった」とガルチエHCも全幅の信頼を寄せる。
ジュロンの復帰は、負傷者が続いているフランスチームに明るい話題と希望を与える。
「この数週間、いつでも復帰できるようにハードワークしてきた。ファビアン(ガルチエ)から、『復帰の時期を決めるのは君だ』と言われ、『できるだけ早く!』と答えた。そして今週になって次の試合はキャプテンだと告げられ、とても嬉しかった。怪我をしてからこれまでのことを思い返した。今はただ早く試合が始まってほしい」