混戦が予想されるラグビーワールドカップ2023(フランス大会)のプールDで、イングランド代表が大きな1勝を手にした。現地時間9月9日にスタッド・ド・マルセイユでアルゼンチン代表との初戦に臨み、27-10で制した。
試合の序盤に危険なプレーをした選手が退場となり、1人少なくなったイングランド代表だが、SOジョージ・フォードが3本のドロップゴールを含む全27得点の活躍で、勝点4をつかんだ。
プールDには、優勝を目指すこの両チームのほか、同じくトップ8入りの経験がある日本代表とサモア代表も入っており、準々決勝へ進める上位2枠をめぐりタフな戦いが予想されている。
今夏のテストマッチは1勝3敗と苦しんだイングランド代表。キープレーヤーのSO/CTBオーウェン・ファレル主将とNO8ビリー・ヴニポラが出場停止処分を受けて不在のなか、チーム一体となって難敵を下した。
立ち上がりは不安定だった。前半3分、ハイボールをめぐってジャンプしたアルゼンチンの選手に対し、イングランドのFLトム・カリーがアクシデント的にヘッドコンタクトの形になってしまい、カードを提示された。試合を進めながらのビデオ検証の結果、カードの色はイエローからレッドに変わり、カリーは退場となってイングランドは試合のほとんどを14人で戦うこととなった。
しかし、イングランドは粘り強いディフェンスを続け、ピンチの場面でゲームキャプテンを務めたFLコートニー・ロウズのジャッカルもチームに勇気を与えた。
そして、流れを変えたのは10番をつけたフォードだった。3-3で迎えた前半27分、ドロップゴールを決めて勝ち越しに成功する。31分にもハーフウェイから狙って50メートルのロングショットを成功すると、37分にもイングランドは敵陣深くに入ってFWの奮闘でフォードのキックチャンスを作り、3連続ドロップゴールで12-3と主導権を握った。
イングランドは後半の入りもよく、フォードのペナルティゴール(PG)で先に加点。一方のアルゼンチンは数的有利ながらイングランドにプレッシャーをかけられ、反則が続き、フォードのブーツで点差は広がった。
イングランドは、ヴニポラに代わって8番をつけたベン・アールがジャッカルを決めるなど相手に流れを渡さず、バックローのスペシャリストを1人欠きながらもスクラムの奮闘も光った。そして、ハードワークと堅いディフェンスを最後まで続けたことも大きな勝因となった。
アルゼンチンは敗れたものの、試合終了間際に連続攻撃で1トライを奪い返しており、得失点差も重要となってくるプール戦で一矢報いた。