大会中、トライを獲れる自信はありますか。
会見でそう問われるや「…当たり前やん! 何、聞いてんの?」。間髪入れずに応じ、記者団を笑わせる。
レメキ ロマノ ラヴァ。身長178センチ、体重96キロの34歳だ。
思い切りのよい走り、CTB、WTB、FBと複数のポジションをこなせる万能性、さらにワールドカップは今回が2度目という経験値が光る。
9月10日、ラグビーワールドカップ2023フランス大会の初戦でリザーブに入る。スタジアム・ド・トゥールーズで、初出場のチリ代表を迎え撃つ。
1勝5敗に終わった今年7月、8月の強化試合では出番がなかったものの、重要なオープニングゲームで抜擢された。
日本代表のジャージィに袖を通すのは約2年ぶりだ。それでも、どこか常連組の風情を醸す。
当日はどのポジションでプレーするかと聞かれ、ひとまず「それは秘密」と微笑む。
「いままではずっとコンディションを上げてきた。頑張ります。まぁ基本、アウトサイドBKをカバーするかな」
話したのは2日前の会見。臨席したSOの松田力也が殊勝に応じたのを受け、「その答え、何回、練習したの?」と和ませる。いつも明るい。
あくまで、自分たちの仲間を信頼する意味合いか。自分がフィールドに立つ瞬間を、まずはこうイメージする。
「リザーブは、あまりプレッシャーがない。入る時はもうたぶん、試合は決まっていると思います。試合に出る時が楽しみです」
相手を侮る意図はない。チームはフランスに入ってから「負けている時、最後にトライを取らなきゃいけない時とか、(さまざまな想定のもとで)練習してきた」とレメキは言う。シビアな準備も施している。
今度のワールドカップは、どんな大会にしたいか。
「たくさん試合に出てトライをいっぱい取る。NEC(グリーンロケッツ東葛)との契約は5月で終わるから、その頃に『あと3年、契約してください! 給料上げてください!』って。いろんなモチベーションがあるね!」
2019年に初めて出た日本開催のワールドカップでは、初の8強入りに喜んだ。そして今度のフランス大会では、「ベスト4」を狙えると話す。その心は…。
「2019年の時はホームで、PNC(大会前にあったパシフィック・ネーションズカップ)で優勝していて、プレッシャーがあったね。でも今回はテストマッチで1試合しか勝ってないし、たぶんプールステージで終わると思っている方が多い。前回よりもプレッシャーが少ない。でも、ちゃんと準備はできている。だからベスト4は、行けると思う」
自分の、自分たちの力を信じている。「自信」がある。