ラグビーリパブリック

日本、W杯前最後の試合でイタリアに敗れる。姫野「自信失うのは怖い。いいレッスンになった」

2023.08.27

ブレイクダウンで激しくファイトする日本代表とイタリア代表(撮影:イワモトアキト)


 ラグビーワールドカップ2023フランス大会開幕前、最後のテストマッチで、日本代表はシックスネーションズ(欧州強豪6カ国対抗戦)で経験を積んでいる世界ランキング13位のイタリア代表に敗れた。トレヴィーゾで現地時間8月26日に対戦し、76分(後半36分)の時点で7点差と競ったが、その後失点を重ね、21-42で敗れた。

 ワールドカップ2大会連続のトップ8入りを目指す日本代表だが、今夏は1勝5敗で“本番”に臨む。

 序盤にピンチの場面で新鋭のFL福井翔大がジャッカルを決めるなど、流れを引き寄せそうなシーンはあったが、先制したのはイタリア。6分、自陣でのラインアウトでスチールしたあと、オフロードも巧みに使ってボールをつなぎ、SOパオロ・ガルビーシがブレイクし、サポートのSHスティーブン・ヴァーニーがゴールへ走りきった。

 対する日本は16分、ラインアウトからのサインプレーが決まってランでディフェンダーを引きつけたHO堀江翔太から返しのパスをもらったWTBジョネ・ナイカブラが抜け、5点を奪い返した。

 その後、日本はFLリーチ マイケルのラインアウトスチールでピンチを脱出した時間帯もあったが、先に追加点を挙げたのはイタリアで、21分、複層的なムーブを入れた展開からFBトンマーゾ・アランが突破し、オフロードパスをもらったWTBアンジェ・カプオッツォが右外をゲインしてキック、チェイスしたWTBモンティー・イオアネがバウンドボールを確保してインゴールにダイブした。

 流れを変えたい日本は27分、ブレイクダウンでPRクレイグ・ミラーがターンオーバーしてボールをつなぎ、リーチの力走もあってフェイズを重ね敵陣深くに入ったが、イタリアの粘り強いディフェンスに得点を阻まれた。

 その後、両チームともペナルティゴール(PG)でスコアボードを動かし、日本は11-17で折り返しとなった。

 後半早々、相手にショットを許し、9点差とされた日本は、48分(後半8分)に敵陣深くへ入るも、ラインアウトを失敗。その1分後には、WTBナイカブラが左外から鋭く内に切り込んでタックルを破り、ゴールに迫ったが、捕まり、サポートがつくもボールをつなげず、フィニッシュまでもっていけなかった。

 それでも52分、しぶといディフェンスを続けるイタリアに対して日本は根気強く17フェイズを重ね、SO松田力也からオフロードをもらったFB松島幸太朗が抜け、点差を詰めた。しかし、この日はSOで先発した李承信も後半から出場の松田もゴールキックの精度が良くなく、着実に加点できなかったのが最終的に響いた。

 4点差とされたイタリアは56分、ダミーを入れながら巧みにパスをつないで日本のディフェンスを崩し、WTBイオアネがフィニッシャーとなって再び突き放した。その後、PGでも加点。

 食らいつきたい日本は、チャンスを作りながらもイタリアの規律のいいディフェンスに手を焼き、71分に再びフェイズを重ねてCTBディラン・ライリーがトライを獲りきり、21-28としたが、反撃はここまで。

 77分、日本は自陣深くからディフエンス裏へのショートパントを使って突破口を開こうとしたが、冷静にボールを処理した相手WTBイオアネが切り返しで次々とタックラーを振りきってゴールに持ち込み、勝負あり。
 試合終了間際にはナイカブラの雑なタップパスでイタリアにボールを渡してしまい、独走を許して点差が開いた。

 8番をつけたキャプテンの姫野和樹は試合後、「残念な結果に終わったが、自信を失うことがいちばん怖い。いいところもあったと思うので、そこをしっかり深堀しながら、修正点もしっかり修正しながら次の試合へ向けてやっていくことが大切だと思う。今回、たくさんのチャンスを作っておきながら、簡単なミスをしてしまったので、いいレッスンになったと思う」とコメントした。

 そして、37歳のベテランHOである堀江は、「ここというところで(トライを)獲りきれないところがあった。チームとしてどういうふうにしたらいいかというのはこの試合で少し見えた部分もあるので、いい収穫もあったと思う。敵陣に入ってボールをキープし続ければトライは獲れるところはたくさんあったので、そこの精度をもっと上げていきたい」と前向きにとらえた。

 堀江と同じく4度目のワールドカップ出場となるリーチは、「久々にヨーロッパのチームと戦って、力の差はそこまで感じていないが、自分たちの選択肢のなかで、戦うエリアや反則するところを改善すれば、もっと相手にプレッシャーをかけられると思う」と振り返った。

 そして、バックラインのキープレーヤーである松島は、「汗で滑って自分たちのスキルを活かせない部分があった。抜けるところはもっとあったはず。自分たちのスタンダードをもっと上げないといけない。いくら滑ると言っても、そこをちゃんと遂行していかないと勝てない相手になってきている。(ワールドカップでは)負けたら終わりという覚悟でやっていかないといけない。一試合でも落としたらベスト8には行けないという考えでやらなきゃいけないので、本当に一戦一戦、先を見ずにやっていきたいと思う」と述べ、開幕まで2週間を切ったワールドカップへ向け最後の準備をしていく。

 プールDに入る日本は初戦を現地時間9月10日に迎え、初出場のチリと対戦する。その後は難敵が相手となり、イングランド戦(同17日)、サモア戦(同28日)、アルゼンチン戦(10月8日)と続く。そして、同組5チーム総当たりの結果、上位2チームが準々決勝に進む。

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