自国開催のラグビーワールドカップで悲願の初優勝を目指すフランス代表にとって、悲劇となった。
世界最高クラスのスタンドオフ(SO)で、チームの司令塔であるロマン・ンタマックが、8月12日のスコットランド代表戦で左膝を痛め、検査の結果、前十字靱帯を断裂したことが明らかとなり、ワールドカップを欠場することが確実となった。
元フランス代表BKだった父エミールさんのDNAを受け継ぎ、18歳からプロ選手として活躍してきた天才的プレーメーカーのロマン・ンタマックは、前回のワールドカップ日本大会で光り輝いて2019年のワールドラグビー年間最優秀新人賞を受賞。2022年にはシックスネーションズ(欧州6カ国対抗戦)全勝優勝に貢献し、14連勝にも導いた。24歳となった今年は、トップ14(国内最高峰リーグ)の決勝で試合終了間際に劇的な逆転トライを決めてトゥールーズに栄冠をもたらすなど、最も注目されていたスーパースターのひとりで、自国開催ワールドカップでは優勝を狙うフランス代表“レ・ブルー”のエース10番として国民から期待されていた。
しかし、ワールドカップ開幕まで4週間を切った8月12日のスコットランド戦で、先発出場したンタマックは後半14分頃、相手SOフィン・ラッセルにタックルした際、左膝を負傷。足を引きずりながらも自力でフィールドを去ったため、当初はけがの深刻さについてあまり心配されていなかったが、検査で最悪の事態が確認された。
前十字靱帯断裂が判明して手術が必要となり、通常、回復まで6~9カ月かかると言われており、今秋のワールドカップ出場は絶望的となった。
ンタマックは検査後、自身のSNSで「I’ll be back(私は戻ってくる)」と短いコメントを投稿していた。
フランス代表のワールドカップスコッドは8月21日に発表される予定。
SO候補には、24キャップのマチュー・ジャリベール(ボルドー・ベグル)や2キャップのアントワンヌ・ハストイ(ラ・ロシェル)らがいる。
なお、12日のスコットランド戦ではプロップのシリル・バイユもふくらはぎを負傷し、5~6週間はプレーできない見通しで、ファビアン・ガルチエ ヘッドコーチを悩ませている。
フランス代表は9月8日のワールドカップ開幕戦で優勝争いのライバルとなるニュージーランド代表と激突し、プール戦ではほかに、ウルグアイ代表、ナミビア代表、そしてイタリア代表とも対戦する。