3年連続の選出となった。
先を行く者を追いかける一方で、追走者が迫ってくる。
ラグビー王国は競争が激しい。
高校時代からニュージーランド(以下、NZ)のクライストチャーチにあるクライストカレッジで活躍し、現在カンタベリー大学に学ぶ三宅駿が今年もカンタベリー州B代表に選出された。
A代表入りを狙う。
三宅はスタンドオフ。これまで、カンタベリー州のU16、U18、U19と各年代代表に選ばれてきた。
U20クルセイダーズ、NZUにも選出されたことがある。B代表に3年連続で選ばれたいま、カンタベリー州代表に早く歩を進めたい。
「カンタベリー代表に2人のSOがいて、Bにも僕を含めて2人います。Aの一人ひとりは2歳上で、Bのもう一人は2歳下です」と本人が置かれた立場を話す。
「上を追ってはいますが、追われています」
今秋に大学卒業を控える21歳。スポーツマネジメントについて学び、母校でインターンも経験した。
来年からは現地で就職してクラブラグビーを続けながら、カンタベリー代表入り、さらにその先にあるクルセイダーズを目指す生活になる。
貧困など困難な環境にある子どもたちにスポーツの機会を提供する活動に加わる希望も持つ。
永住権を得て、ラグビー王国での生活を続けていきたい。
もともとカンタベリー大クラブに所属していた。より強いクラブでプレーした方が存在をアピールできると考え、マリスト・アルビオンに移籍したのが昨季。
今季は同クラブで地域選手権(メトロ・プレミア)のチャンピオンとなった。
ファイナルでハイスクールオールドボーイズを31-26と破った試合でも三宅は10番を背負い、チームを勝利に導いた。
172センチ、88キロの体躯から、パス、ラン、キックを巧みに使い分ける。
カンタベリー代表のBKコーチと話し、キャッチ、パスの精度をさらに高めること、ゲームマネジメント、キックの使い方のアドバイスを受けて臨んだ今季。
それぞれについて意識してプレーした結果、自身でも成長を感じることができた。
B代表の試合は3試合だけ。8月27日にサウスランドと戦った後、9月に入ってから、オタゴ、タスマンと対戦する。
それらの試合でアピールするとともに、A代表のメンバーにケガ人が出て練習に呼ばれた際、自分の力をしっかりと示すことが重要だ。
「B代表ではベテランです。チャンスが来たときにそれをつかめるように準備をしておきます」と話す。
神戸出身。5歳のときに芦屋ラグビースクールで楕円球を追い始めた。
キックが得意なのは、幼い頃にサッカーもやっていたからだ。
スーパーラグビーが好きで、いつもテレビ中継を見てNZに憧れを抱くようになった。
中学2、3年時には兵庫県スクール選抜のメンバーとして全国ジュニア大会に出場している、芦屋ラグビースクールの一員として太陽生命カップ全国中学生大会でもプレー。日本代表の李承信は1学年上で、ラグビースクール時代に対戦し、選抜チームでともにプレーしたこともある。
クライストチャーチで暮らし始めた頃は、まだまだ先に感じていた州代表は近づいてきたが、厚い壁があることも実感している。
少年時代からのオールブラックスになる夢は諦めたわけではないが、「まず目の前の壁を破らないと」と覚悟を決める。
州代表になるために他へ移り住む選手もいるが、仕事のことや環境、ラグビーのレベルを考えても、クライストチャーチで勝負していきたい。
チャレンジは続く。