ラグビーリパブリック

「ラピース」が帰ってきた。ピーター・ラブスカフニが日本代表に約8か月ぶりに復帰

2023.08.05

キャプテンズランの前、明るい表情で体を動かすラピース。(撮影/松本かおり)



 帰ってきた。目じりを下げた。

「ラピース」ことピーター・ラブスカフニが8月5日、約8か月ぶりに日本代表としてプレーする。

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 東京・秩父宮ラグビー場である「リポビタンDチャレンジカップ2023パシフィックネーションズシリーズ」のフィジー代表戦に、7番で先発。前日の会場で笑顔を浮かべた。

「代表に戻ってこられたことは光栄に思います。久々の試合。興奮していますし、わくわくしています。ディフェンスでも、アタックでも、クリーンアウトでも、チームに必要なことを全力でやり切ります」

 身長189センチ、体重106キロの34歳はクリスチャン。聖書を生きる指針としてキリストを信じているうえ、周りの人間から信頼されもしていた。

 2018年、当時スーパーラグビーに日本から参加していたサンウルブズでプレシーズンキャンプ。バズーカで早朝にたたき起こされる自衛隊の訓練があったなか、前向きな態度でリーダーシップを取っていたのが「ラピース」だった。その姿が、指揮官のジェイミー・ジョセフに好印象を与えた。

 オープンサイドFLとして繰り出す高低のタックル、豊富な運動量と相まって、ジョセフの率いる日本代表へも加わってゆく。

 代表資格を得た2019年に初キャップ(代表戦出場の証)を受け取り、同年のワールドカップ日本大会では2試合でゲーム主将を務めた。そのワールドカップでは、史上初めて8強入りした。

 2021年秋の代表活動では正規の主将となり、役職の解かれた2022年も2つの代表戦を含む3度の対外試合でプレーしていた。

 最近は、怪我に泣いた。

 今年5月までの国内リーグワンでは、シーズン途中に戦列を離れた。所属するクボタスピアーズ船橋・東京ベイが優勝する瞬間、会場の東京・国立競技場でジャージィを着ることは叶わなかった。

 ワールドカップイヤーの日本代表には「候補」の扱いで名を連ねたものの、6月中旬に始まった日本代表の浦安合宿へも加われなかった。

「怪我に関しては、フラストレーションがたまっていました。それでも質の高い時間を家族と過ごせた。リフレッシュできました。自分のできることを毎日やってきました」

 仲間たちのもとへ合流できたのは、拠点を宮崎に移していた7月9日。同月8日からの国内戦を1勝3敗とするチームには、「ジャパンラグビーは日々、進化している」と所感を述べる。

 今回は、今秋のワールドカップフランス大会のメンバーが決まる前の、最後の実戦機会だ。不在時に若手が台頭する中、「ラピース」は地に足をつけようとしていた。

「正直、そこまで先(メンバー発表)のことは考えていませんでした。まずここ何週間はフィールドに復帰することに向けてやってきていました。楽しみながら、試合で自分を表現したいです」

 今回、「ラピース」に出場機会を与えるジョセフは、「ワールドカップに向けて価値のある選手なので、起用しています」と説いた。 そして、かような意図について勘繰るそぶりを見せないからこそ、きっと「ラピース」は信頼される。秩父宮で淡々と身体を張る。


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