ラグビーリパブリック

ヘル ウヴェ、2019年ワールドカップ以来の代表戦出場へ感慨深げ。

2023.07.22

サモア戦前日に会見で意気込みを述べたヘル ウヴェ(撮影:向 風見也)


 カウントダウンが懐かしい。

 ラグビー日本代表が初めてワールドカップの決勝トーナメント進出を決めたのは、2019年10月13日。横浜国際総合競技場でスコットランド代表を28-21で下したその日、ヘル ウヴェは勝ったチームの19番をつけていた。

 ラストワンプレー。自陣22メートル線付近左で7点リードを守り切った。満員のスタンドからの「3! 2! 1!」というカウントダウンの声を、味方ボールの接点でもみくちゃにされながら聞いた。

 試合終了のホーンが鳴るとともに、ボールがタッチラインの外へ蹴り出される。両軍選手の下敷きになっていたヘルは、倒れたままこぶしを突き上げた。

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 あれから約4年。当時以来の代表戦へ出る。7月22日、札幌ドームでサモア代表とぶつかる。パシフィックネーションズシリーズの初戦だ。トンガ出身のヘルは日本語で話した。

「明日、もう一回、試合ができるのは、すごく嬉しいです。その4年でけがもあったし、年もおじさんに! …でも、また日本でプレーしたいから。明日、楽しめると思います」

 しばらく代表から遠ざかっていたが、けがが癒えつつあった今年は所属するクボタスピアーズ船橋・東京ベイで好調を維持。リーグワンを初めて制し、6月中旬始動の日本代表へ復帰した。

 久々の代表活動では、いい意味で驚いている。

 同じLOには身長201センチで21歳のワーナー・ディアンズという新星がいて、司令塔のSOではディアンズより2学年上の李承信が定位置争いに名乗りをあげている。

 いずれも2019年ワールドカップ時にはいなかった後輩だ。若者のポテンシャルに、33歳のヘルは感銘を受けた。

「若いメンバーのスキルが違います。スピードもあるし。それをどうやってミックスするかを、いま、合宿でやっています」

 日本代表は、自国開催の2019年大会で8強入り。今秋に開かれるフランス大会では、初の世界一を目指している。

 そのグループに名を連ねたいヘルは、今回のサモア代表戦でもあの日と同じ19番をつける。

 持ち場となるLOの先発メンバーには、もともとFLやNO8を担うアマト・ファカタヴァが入る。

 自身と同じトンガ出身で28歳のファカタヴァについては「強いし、速い。ジャパンの未来はいい(明るい)と思います!」とヘルは言う。

 多彩なメンバーと競い合い、日本代表を強くする。

 自身は身長193センチ、体重120キロのサイズを活かした突進、スクラムでのプッシュ、ラインアウト時の捕球判断で違いを生み出す。

「いろいろ(個性が)違うから、チャンスをもらえば、自分(各自)が自分をアピールする」

 取材を終えると、「ありがとうございます! ごめんなさい、日本語が、ちょっと!」と笑顔で会見場を去った。場を和ませた。

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