ラグビーリパブリック

鹿児島代表の心意気で。CTB中村亮土、コネクションの中心で勝利呼ぶ。

2023.07.13

「浦安でやったきつい練習を、実戦の中で使えるようにしないといけない」。(撮影/松本かおり)



 昨年11月20日、トゥールーズでおこなわれたフランス戦以来、約8か月ぶりに日本代表を背負ってピッチに立つ。
 CTB中村亮土が背番号12を背負い、オールブラックスXV戦に先発する(7月15日)。

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 ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは同13日の出場予定メンバー発表時、「彼が入るとチームに自信が生まれる」と話した。
「コミュニケーションをとって、SOの李承信と助けあってほしい。個人としても、タフだし、スキルを持ち、ワークレートも高い」と期待は大きい。

 中村自身も、自分が出るからには、と言って続けた。
「コネクションをとって、チームがうまくいく潤滑剤になれるようにしたい」

 6-38とノートライで終わったオールブラックスXVとの初戦では、全員で同じ絵を見てプレーすることができず、日本らしいアタックを出せなかった。
 そんな状況を解消する存在になる。

 前戦は外から見た。敗戦後のロッカールームの空気は沈んでいたという。
 しかしチームは、自分たちのラグビーを見つめ直し、ミーティングで前向きに反省。次の試合に備えた。
「いいところも間違いなくあった試合でした。そこには自信を持って、課題をクリアにしながら準備を重ねました」と証言する。

 自身は久々の実戦も、「非常に良いコンディション」と言う。
 前週はジャパンXVとして戦ったが、今回は日本代表。「より誇りを持って勝ちにいく」と誓った。

 すでに33キャップを誇る中核も、ワールドカップ(以下、W杯)スコッドに選ばれることは約束されていない。
 競争の中にいることは自覚している。

 しかし、「あと5試合の中で出場機会を勝ち取りながら、ゲーム感覚を高め、フィジカリティーでもいい準備をしていきたいですね。自分の100パーセントを試合の中で出していく。特別なことをしようとは思っていません」と落ち着いたものだ。

 CTBのポジションを争うライバルの中には、サンゴリアスのチームメートで後輩の中野将伍もいる。しかし、「彼とはタイプが違う」と意識しない。
 他人との比較でなく、自分の武器を磨くことが大事だ。

 強みを、「つながってプレーできるところ」と自覚する。
 コミュニケーションが足りず、プレッシャー下で本来の攻撃力が出せなかったチームは、ユニットと個々で、それぞれの役割を明確にするミーティングを重ねた。

 中村の持ち味は、その中で力になりそうだ。「内の選手と外の選手がストレスを感じることなく、大胆にプレーできるつなぎ目になれたらいい」と話す。

 鹿児島県出身の32歳。土曜の夜の試合は、故郷の隣県、熊本でおこなわれる。
 本人も「(開催が)決まったときから、この試合に出たいと思っていました」と言う。

 90代の祖父母を含め、家族が応援に駆けつける。
 地元・南日本新聞の記者から「鹿児島でラグビーをしている子どもたちに、W杯でどんなプレーを見せたいですか」と質問されると、郷土愛全開で答えた。

「僕は鹿児島代表を勝手に背負っています。鹿児島のラグビーを盛り上げたい気持ちがいちばん。子どもたちに(ラグビーの素晴らしさを)知ってほしいですね。地元の人たちに気持ちが伝わるプレーをしたい。熱く、勇気あるプレーを伝えたいと思っています」

 テストマッチではなくとも、乾坤一擲の勝負に挑む。

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