ラグビーリパブリック

栄冠は今年もクルセイダーズに輝く チーフス倒し7年連続でスーパーラグビータイトル獲得

2023.06.24

連覇を達成して歓喜のクルセイダーズ。トロフィーを掲げるスコット・バレット主将(Photo: Getty Images)


 世界屈指の常勝クラブであるクルセイダーズが、ニュージーランド勢対決となったスーパーラグビー・パシフィック2023のファイナルを制し、連覇を達成した。
 6月24日にハミルトンのFMGスタジアム・ワイカトでプレーオフ決勝がおこなわれ、レギュラーシーズン1位だったチーフスに25-20と競り勝ち、歓喜となった。
 クルセイダーズは、南半球最高峰とされるこの大会の名称がスーパーラグビーだった時代から数え(コロナ禍で国内大会として実施したスーパーラグビー・アオテアロアを含む)、7年連続14度目のタイトル獲得である。

 偉業を成し遂げた指揮官のスコット・ロバートソンはニュージーランド代表の次期ヘッドコーチに就任することが決まっており、長年チームをけん引してきたベテランのLOサム・ホワイトロックやSOリッチー・モウンガなどは今年のワールドカップ後に海外クラブへ移籍するため、有終の美を飾った。

 一方、チーフスも世界的スターのLOブロディー・レタリックや共同主将のSHブラッド・ウェバーなどにとっては長年在籍したこのチームでのラストゲームで、10年ぶりの王座奪還を目指したが、ディフェンディングチャンピオンを倒すことはできなかった。

好走を連発したチーフスのショーン・スティーヴンソン(Photo: Getty Images)

 決勝は3-3で迎えた前半23分、チーフスが最初のトライを挙げた。フィジカリティを活かしたNO8ルーク・ジェイコブソンのハードタックル後のボール奪取からアタックを継続し、相手が速い出足で詰めてきたところ、CTBアレックス・ナンキヴェルがかわしてクイックパスでつなぎ、空いたスペースをFBショーン・スティーヴンソンが突いてゴールへ走り抜けた。

 しかし、7点リードを奪ったチーフスだが、26分にジェイコブソンがイエローカードを提示され、流れが変わる。
 直後、クルセイダーズはゴール前のラインアウトからモールで押し込み2点差とすると、まだ数的有利だった36分には、FBウィル・ジョーダンがブレイクしてWTBレスター・ファインガアヌクも好走で敵陣深くに入り、テンポよくたたみかけ、SOモウンガがフィニッシュし、逆転した。

リッチー・モウンガがトライを決め、前半を15-10で折り返したクルセイダーズ(Photo: Getty Images)

 それでも、5点ビハインドで折り返したチーフスは後半早々、グラウンド中央付近のスクラムからバックス展開して、CTBナンキヴェルから折り返しのパスをもらったFBスティーヴンソンが抜け、ゲインしたあと右外のWTBエモニ・ナラワにつなぎ、同点トライ。SOダミアン・マッケンジーがコンバージョンを決め勝ち越すと、49分(後半9分)にはペナルティゴール(PG)で3点を追加した。

 勢いに乗りかけたチーフス。
 しかし、55分の鮮やかなサインプレーでトライが認められなかったのは惜しかった。ラインアウトのロングスローでボールを手にしたマッケンジーが鋭い走りでハーフウェイから抜け、サポートについていたナラワがディフェンダーをかわしてゴールへ走りきり、大きな追加点となったかに思われた。だが、TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)でマッケンジーがオフサイドの位置にいたことが確認され、トライならず。

 その後、チーフスは粘り強いディフェンスでリードを保っていたものの、王者はこのまま終わらなかった。

 終盤の72分、ゴール前で怒涛の攻撃を繰り返したクルセイダーズに対してチーフスの反則が続き、レフリーはこの日3枚目のイエローカードを提示。共同主将のFLサム・ケインが退出を命じられた。

 直後、クルセイダーズはラインアウトからモールで押しきり、同点に追いつくと、SOモウンガがコンバージョンを決め、ゲームをひっくり返した。

 チーフスは76分にSOマッケンジーが自陣から50メートル超のPGを狙ったが、届かず。

 そして試合終了間際、逆転勝利をあきらめないチーフスが懸命に11フェイズを重ねたものの、クルセイダーズが堅守でじりじりと押し戻し、ブレイクダウンでチーフスが反則。80分を報せるサイレンがスタジアムに鳴り響いたあと、モウンガがPGで締めくくり、クルセイダーズの歓喜となった。

ラストダンス。優勝後恒例の踊りで締めくくったスコット・ロバートソンHC(Photo: Getty Images)
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