6月12日に浦安合宿を本格始動させたラグビー日本代表。1週目最終日となった16日は、午前練習の一部を一般公開した。
参加選手は4つのグループに分かれ、約700名のファンに見守られながら懸命にエアロバイクを漕いでいた。終了後はチームのステッカーを配り、交流した。
「公開練習にファンの方が来てくださる機会は、僕自身が代表に入ったばかりの頃はなかったことです」
こう話すのは齋藤直人だ。初めて日本代表に入ったのは2021年。ウイルス禍にあった。
政府方針などで社会が従来の形に戻りつつあるのを受け、今回、わかりやすい形で支持されているのを実感した。
「応援してくださることを実感することは、自分たちのエナジーにつながります」
ワールドカップ・フランス大会まであと3か月を切った。
身長165センチ、体重73キロの齋藤は、持久力とパスの精度が長所のSH。ワールドカップ経験者の流大、初代表の福田健太と定位置を争うなか、他者と比べないことを意識する。
「お前は他の誰でもない」
アタックを担当する「ブラウニー」ことトニー・ブラウン アシスタントコーチに、こう言われたことがあるのだ。己に誓う。
「ライバルがどうこうというより、自分自身のラグビーをやり切ることが必要。自分のスタイル、強みをどう出すかを考えていきたいです」
25歳で迎えた昨季の国内リーグワンでは、所属する東京サントリーサンゴリアスで共同主将を務めた。若くしてクラブのリーダーを任された経験は、いまの日本代表活動にも反映されるのだろうか。そう問われた本人は、常連組の自覚を示す。
「これは、主将をやったからなのかはわからないですが…。代表としても3年目。初めてのメンバーに比べれば流れは(わかり)、少し、余裕はあると思う。(勝手のわからない仲間に)一声、かける。そういうことは、自分なりにやっているつもりです」
誰もがハードと口を揃える今回のキャンプ。齋藤は「身体的にきついなかでお互いが規律を保ち、支え合う(のを意識)。これが、ゲームに活きてくる」とハードワークの効能を期待する。
「ラグビー的には(戦術などの)落とし込みが多かった。週末は休みながら今週やったことをクリアに整理して、自分がリードできるようにしたいです。来週以降は(合宿の流れに)もっと適応して、いい準備、いいトレーニングができると思います」
自分と向き合い、自分のやるべきことと向き合う。