エントランスの広いスペースに多くの市民が集まった。
6月5日、リーグワン2022-23でチーム史上最高位の3位となった横浜キヤノンイーグルスがシーズン終了報告のため、横浜市役所を訪問した。
イーグルスからセレモニーに参加したのは、岡本芳弘プレジデント(兼部長)、永友洋司GM、梶村祐介主将、田村優、小倉順平と高木一成。
シーズンを振り返ったり、将来に目を向けたり、壇上でトークを披露した。
高校時代(早大本庄)にラグビーをプレーしていた山中竹春市長は、力の入った言葉でイーグルスを歓迎した。
「永友さんが明治大学のスタープレーヤーだった頃にラグビーに熱中していた人間です」と自身の青春時代を話したあと、イーグルスへの感謝とラグビーへの想いを言葉にした。
山中市長は、2019年のラグビーワールドカップ開催時に貢献をした自治体で構成する協議会、『自治体ワンチーム』の会長を務めている。
同大会のレガシーを未来に引き継いでいくためにも、自治体からラグビーを盛り上げる活動をしている。
「イーグルスが(リーグワンで)3位となったことは誇らしい」と選手たちを称えた市長は続けた。
「来シーズン、より多くの市民の皆様にトップチームの力強さ、スピード感あふれるプレーを生で見ていただきたいと思っています」
イーグルスは、2022-23シーズンのホストゲーム最終戦に横浜市民2000人をスタジアムに招待した。
それに対し山中市長は、「市民が一体となってラグビーを盛り上げる貴重な機会を作って下さった」と感謝の気持ちを伝えた。
そして最後に、「来季はリーグ優勝を掴み取ってもらえるようにみんなで応援しましょう」と市民に呼びかけた。
イーグルスの選手たちもトークで場を盛り上げた。
シーズン中の印象に残った試合を問われた梶村祐介主将は、第11節の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦を挙げた。
3月12日に相模原ギオンスタジアムでおこなわれたその試合は、最終的に41-21とイーグルスが制した。
主将は、神奈川ダービーをピックアップした理由を、「前半を風下で戦って大量リード(前半=5-21)を許しましたが、後半に立て直し、自分たちのスタイルを出した試合でした」とした。
梶村主将はその試合で、「自分たちの変化を感じました」と話した。
対応力が必要な条件下で、ボーナス点を獲得して勝利を得た。
チームとしての成長を実感できたという。
「今季は初めて3位となり、チームとして良い経験ができました。それを活かし、来季は国立(競技場)へ、決勝へ行きたい。そのためにも(新シーズンへ向け)準備を重ねていきます」
田村優はシーズンを振り返って、「最初の方はチグハグなところもありましたが、勝つために必要なプレーを、チーム全体でできるようになっていきました」と話した。
セレモニーの司会者が、東京サントリーサンゴリアスとの3位決定戦(26-20)終了直後の光景について尋ねた。
田村はピッチに横たわり、天を仰いだ。その姿が印象的だった。
「疲れて動けなくなりました」と答えた田村は、「最後の試合では、チームに違った景色を見せるのが自分の仕事だと思っていました」と続けた。
プレーオフに入り、リーグ戦以上にギアを上げていかないといけないと考え、先頭に立っていた。結果、疲れが蓄積した。
そんな状況下で臨んだ試合に、チームメートとともに力を出し尽くして勝利をつかんだ。
「最後にもうひとつ順位を上げられてよかった」と総括した。
1年後には、どんな報告ができるだろう。
横浜市民の期待は年々大きく膨らんでいる。