週明けから、体育の授業をするという。
東海大ラグビー部4年の武藤ゆらぎは、中学、高校の教員免許取得に挑んでいる。5月下旬からの約3週間、地元・神奈川の中学校での教育実習に臨む。その間の練習は欠席する。
「慣れないことが多いので、緊張します」
5月28日、実習前最後の実戦に挑んだ。
山梨・JITリサイクルインクスタジアムに立った。関東大学春季大会Aグループの4戦目で、明大に31-41と敗れた。
東海大は伝統的にFWのセットプレーが強みだが、この日はそのパートで苦しんだ。ラインアウトのエラー、スクラムでの反則でペースを握られた。
試合のディテールを踏まえ、BKの武藤は前向きに述べる。
「ゲームを通して全部のスクラムが悪かったわけではなく、ラインアウトもいい部分があった。これからも、FWにはこだわっていってもらいたいです」
身長170センチ、体重76キロ。司令塔のSOを担う。鋭いランを強みに、1年時から出番をつかんできた。
3年生だった昨季は、大学選手権の準々決勝で筑波大に17-20と敗戦。自らの「ゲームコントロール」が敗因になったと、自責の念にかられる。
最終学年となったいま、クラブ史上初の日本一を狙う。自らの判断で、仲間を勝たせたい。
意識は現れる。今度の明大戦ではハイパント、ロングキックを使い分けでエリアを確保。敵陣で相手の反則を引き出し、得点機を作った。
「自分たちのFWを前に出して戦いたいと思っていた。エリアマネジメント、意識しました」
毎年この時期の東海大では、教育実習生となる4年生が多い。学内で設けられたカリキュラムに沿って免許を取れば、選択肢を広げられるからだ。
もっともそれは、春季大会のメンバー構成に少なからぬ影響を及ぼす。これから実習へ出る武藤は、6月18日の神奈川・小田原市城山陸上競技場での帝京大戦へ出られない可能性がある。残った部員に期待する。
「今日の試合に向けてむちゃくちゃ、準備してきたんです。それが通用しなかった。来週からは、3年生中心にいままで以上の練習をやっていってもらえたらなと思います」
ちなみに卒業後は、国内リーグワンでプレーする。まずは競技者として高みを目指す。