感謝の気持ちがあふれる会が、久しぶりに復活した。
5月27日、『退職祝賀会』が催された。
強豪、個性派、伝統校が競い合う福岡県の高校ラグビー。
彼の地には、指導の現場で情熱を注いできた先生たちが大勢いる。
『退職祝賀会』は、その先生たちが定年退職を迎えた際におこなわれる恒例の会だ。
節目の年を迎えた先輩たちを、後輩指導者たちが送り出す。
コロナ禍により2019年度から3年間開催できなかったため、今回は4年間分のお祝いをした。
送り出される11名の先生のうち、都合が合わなかった2名が欠席。9名の先生を送る会となった。
送る側、送られる側あわせて69名が、福岡市内のホテルに集まった。
感謝の気持ちを込めた花束を贈られた先生たちは、一人ひとり挨拶をした。
福岡の高校ラグビーの礎を築いてきた人たちの話は熱く、あたたかく、楽しい。
聴き入ったり、笑ったり、涙腺が緩んだり。いい時間が流れた。
いまならご法度の思い出話も当然ある。
しかし、どれもこれも、教え子たちへの愛にあふれていた。
修猷館高校の館長(校長)を務めた岡本圭吾先生は、「かっこいい男を作るための指導をしてきた」と信念を口にした。
元日本代表主将、箕内拓郎さんが八幡高校在学時に指導した吉原隆先生(小倉工業高校)、元トップレフリーの石本月洋先生(筑紫高校校長)の顔もあった。
元日本代表WTB、福岡堅樹さんが福岡高校に学んでいた時に指導した牟田口享司先生(柏陵高校)は、「恩師に恥をかかせることのないように指導をしてきた」と話した。
そんな矜持があちこちで紡がれているから、福岡のラグビーの土台は分厚くなる。
会の途中では、今年1月に花園で頂点に立った東福岡高校、藤田雄一郎先生の胴上げもおこなわれた。
仲間の日本一は、誰もが自分のことのように嬉しい。
藤田先生はいつも、「若い頃に皆さんから教わったことが、のちの自分にとても役立っている」と話す。
学校の枠を超えた交流は、視野を広く、考えを深くするものだ。
学校、年齢の垣根なく集まり、話すことで生まれるものが必ずある。
福岡の強さの秘密が、こんなところにもあった。