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クボタスピアーズ船橋・東京ベイが悲願達成! 埼玉ワイルドナイツを倒し初の日本一

2023.05.20

初のチャンピオンとなり、歓喜のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(撮影:松本かおり)


 クボタスピアーズ船橋・東京ベイがついに、ジャパンラグビーの頂点に立った。
 5月20日、国立競技場でおこなわれたリーグワン2022-23のプレーオフ決勝でディフェンディングチャンピオンの埼玉パナソニックワイルドナイツに挑み、17-15で熱闘を制した。

 1978年創部。クボタ東京本社に、有志によるラグビ-同好会が結成され第一歩を踏む。関東社会人リーグや東日本社会人リ-グなどを経て、2003年に始まったトップリーグ(リーグワンの前身)時代には降格も経験したが、再び最高峰ステージに戻り、2016年からはフラン・ルディケ ヘッドコーチ、立川理道キャプテンが率いる体制となって着実に成長し、初の決勝進出で日本一となった。

 4万1794人の観客が集まったファイナル。
 スピアーズは序盤からアグレッシブだった。
 前半13分、SH谷口和洋の絶妙なキックからチャンスを広げ、新人賞候補のWTB木田晴斗が駆け上がってゴール左隅に迫った。オーストラリア代表でもあるワイルドナイツのWTBマリカ・コロインベテが驚異的なカバーリングでタッチライン外に押し出し、トライとはならなかったが、ルーキーがスピアーズに勢いをつけた。

 そして前半20分、今季リーグワンの得点王でもあるSOバーナード・フォーリーがペナルティゴール(PG)を決め、スピアーズが先制する。26分にも攻め込んでショットチャンスをつかみ、6点リードとした。

 一方、3季連続の日本一を狙うワイルドナイツは30分、相手のエラーからカウンターを仕掛け、CTBダミアン・デアレンデとの連係からWTB長田智希が抜けて2対1のチャンスになったが、パスミスでボールはつながらず、好機を逃した。

 ワイルドナイツは前半、ハンドリングやキックのエラーが多く、反則も重ねてリズムに乗れなかった。最初の40分間はポゼッション(ボール支配率)、テリトリーともスピアーズが6割を超えた。

 ワイルドナイツは34分にSO松田力也のPGでようやく3点を入れたが、その数分後、スピアーズはハイボールの落下点に入った松田に対して木田がプレッシャーをかけ、反則を引き出し、フォーリーがPGを決めて9-3で折り返した。

ワイルドナイツにプレッシャーをかけ続けたオレンジジャージーのスピアーズ(撮影:松本かおり)

 後半に入っても、スピアーズは南アフリカ代表HOマルコム・マークスらがブレイクダウンなどで奮闘し、チームを鼓舞。
 46分(後半6分)にもPGで加点し、リードを9点に広げた。
 そして、がまんのディフェンスを続けた。

 なかなかペースを握れなかったワイルドナイツだが、58分、敵陣深くに入ってラインアウトからモールを組み、割って抜けた小さな塊にサポートもついて押しきり、このゲームの初トライを決めて息を吹き返した。後半途中出場のSO山沢拓也がコンバージョンを入れ、2点差に詰めた。

 そして65分、ワイルドナイツは再び敵陣深くに入ると、堅守のスピアーズに対して13フェイズ重ね、山沢から飛ばしパスをもらったルーキーの長田が鋭く力強い走りでタックラーを振りきり、逆転トライを決めた。

 しかし、スピアーズは69分、SH藤原忍が高くボールを蹴り上げ、弾道を追ったNO8ファウルア・マキシが相手にプレッシャーをかけて再獲得に成功し、WTB根塚洸雅がゲイン、すばやくリサイクルしてキャプテンのCTB立川理道がピンポイントのキックパスを放ち、確保したWTB木田がインゴールに持ち込み、再びリードを奪った。

 ワイルドナイツは終盤にも敵陣22メートルライン手前でチャンスになりかけたシーンがあったが、またもパスがつながらず。
 そして、スピアーズは最後まで前王者にプレッシャーをかけ続け、リードを守りきり悲願達成となった。

 2016年からキャプテンとしてスピアーズをけん引し、この日の大舞台でプレーヤー・オブ・ザ・マッチの活躍だった立川理道は、「こういうゲームができたのも、パナソニックさんがいて、たくさんのファンがいての試合だと思います。もちろんレフリーも。そのなかで勝てたことをすごく嬉しく思います」と、まずは相手やファンなどに敬意を表し、喜びをかみしめていた。
 現在33歳の立川がスピアーズに入部したのは2012年。当時はトップイースト(下部リーグ)で戦うチームだった。「トップイーストの頃から会社のみなさんは根強くサポートしてくださって、そのなかで積み上げてきたものが今日、形になって嬉しく思いますし、少しでも恩返しできたかなと思います」。そして、応援してくれたオレンジアーミー(スピアーズファン)に、「みなさんの声援がすごく力になりました。そして、勝ち獲った優勝だと思います。本当にありがとうございました」と感謝を述べ、大きな拍手を浴びていた。

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