MBS/TBS系列「情熱大陸」が5月21日(日)、よる11時から放送される。今回は、コベルコ神戸スティーラーズ所属の李承信が登場する。
昨年6月、当時21歳でテストマッチのウルグアイ戦に初出場。スタンドオフとしてチームを牽引した。一番の持ち味はゴールキックの精度。昨秋の日本代表戦では、成功率94パーセントと驚異の決定力を見せた。
在日韓国人の3世で、朝鮮学校出身者として初めて代表入り。9月のワールドカップフランス大会で初のベスト4入りを目指す日本代表の有力候補とされている。
高校日本代表やU20日本代表に選ばれるなど、早くから注目されてきた一方で、ここまでの道のりは苦難の連続だった。
小学校6年生のとき「ワールドカップで活躍する姿が見たい」と応援してくれていた母を病気で亡くした。
大阪朝高から帝京大に進むも、さらなる成長を目指し、19歳で自主退学。本場ニュージーランドへのラグビー留学を志したが、コロナ禍で叶わず。
公園で一人練習する浪人生活は、スティーラーズへの入団が決まるまで9か月も続いた。
番組は昨年11月から李に密着した。担当したディレクターは、MBS入社8年目の進藤佑基。2年目からスポーツ局に所属し、高校ラグビーを担当してきた。
李との出会いは、取材ではなかった。
進藤は学生時代、同志社大でラグビー部のトレーナーを務めていた。MBSに入社後、大阪朝高のコーチを務めていた大学時代の同期、康哲明(かん・ちょるみょん)さんから「トレーナーとして手伝ってくれないか」と誘いを受けた。
これをきっかけに、休日はグラウンドに赴くことになる。
当時、3年生だった李は、春に膝を痛めていた。だが、春季大会の結果は、秋の花園予選でのシード権獲得に直結する。
李はチームの大黒柱。どうしても出場しなければならなかった。その膝にテープングを施していたのが、実は進藤だった。
その年、花園の大阪第2地区予選の決勝で、大阪朝鮮高は同志社香里高を38-12で破り、花園への出場を決める。
李が高校を卒業してからも、縁は続く。公園で一人練習していた9か月。「ショックで落ち込んでいる」と知り合い伝いに聞いた進藤は、食事に連れ出し、話を聞いた。
一緒に銭湯にも行った。友達のような関係だった。だからこそ今回、進藤は特別な想いで制作に当たった。
番組では、李が母を亡くした小学校6年時に書いた卒業文集を取り上げる。タイトルは「10年後のぼくに」。
あれから10年経ったいま、李が戦い続ける理由に迫る。
【李 承信(り すんしん)プロフィール】
2001年1月13日生まれ。兵庫県神戸市出身。176センチ、85キロ。
4歳からラグビーを始め、大阪朝鮮高級学校で全国大会に出場。高校日本代表の主将も務めた。帝京大学に進学後、海外での武者修行を目指して1年で中退するも、コロナ禍で断念。
3人兄弟の末っ子で、次兄もプロラグビー選手。好きな料理はビビンバ。
2020年 コベルコ神戸スティーラーズに入団。
2022年6月 ウルグアイ戦で日本代表デビュー。
2022年7月 スティーラーズの副キャプテンに就任。
◆「情熱大陸」(MBS/TBS系列)について
「情熱大陸」は、日曜よる11時からのひと時を、次の日から始まる長い一週間を前向きに生きるための力を感じてもらうテレビドキュメンタリー。スポーツ、演劇、音楽、学術など、ありとあらゆる分野の第一線で活躍する人物にスポットを当て、その人の魅力、素顔に迫る。