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クボタスピアーズが死闘制し初の決勝進出 サンゴリアス14人で奮闘するも土壇場逆転劇ならず

2023.05.14

準決勝、激しくバトルしたスピアーズ(オレンジ)とサンゴリアス(撮影:松本かおり)


 ジャパンラグビーリーグワン2022-23のプレーオフ準決勝第2試合は、死闘となった。
 東京・秩父宮ラグビー場で5月14日、レギュラーシーズン2位だったクボタスピアーズ船橋・東京ベイと同3位の東京サントリーサンゴリアスが激突し、24-18でスピアーズが制した。
 スピアーズが国内最高峰リーグで決勝に進むのは初めて。
 サンゴリアスはトップリーグ時代から数え、新型コロナウイルス感染拡大の影響でリーグ不成立となった2020年シーズンを除き、6季連続のファイナルを目指したが、国立競技場への切符をつかむことはできなかった。

 サンゴリアスにとっては前半5分のレッドカードが痛かった。
 LOツイ ヘンドリックがタックルした際にヘッドコンタクトとなってしまい、一発退場を命じられ、試合のほとんどを1人少ない14人で戦うこととなった。

 一方、スピアーズは15分にPR北川賢吾が危険なプレーをしてしまい、こちらはイエローカードで10分間の退出となる。

 序盤から波乱が起きたなか、サンゴリアスがSOアーロン・クルーデンのペナルティゴール(PG)で先制したのに対し、スピアーズは24分、フィジカルの強い選手たちが連続攻撃でゴールに迫り、PR紙森陽太がLOルアン・ボタのサポートを受けてラインを越え、最初のトライを決めた。

 14人で奮闘するサンゴリアスは30分、CTB中村亮土がブレイクダウンで絡み相手の反則を引き出すと、広いスペースを察知したFB松島幸太朗が速攻で自陣からロングキックを放ち、チェイスしたWTBテビタ・リーがボールを確保してトライを決めた。
 両チームともコンバージョン成功で、サンゴリアス3点リードで前半を終えた。

 後半に入って、互いにPGで加点し、10-13で迎えた55分(後半15分)、ボールがタッチライン外に出たあと、サンゴリアスがクイックスローで速めに仕掛けようとしたが、スピアーズはHOマルコム・マークスがキックをチャージして攻めに転じ、NO8ファウルア・マキシの力強いボールキャリーなどもあってゴールに迫り、たたみかけ、最後はマークスが2人のタックラーをかわしてトライを決め、逆転した。SOバーナード・フォーリーがコンバージョンで貴重な2点を追加。

 ハードワークを続けるサンゴリアスは、膝の重傷を克服して約9か月ぶりの試合出場となったオーストラリア代表CTBのサム・ケレビを57分から投入し、ケレビは強烈なタックルなどでチームを鼓舞した。

 すると65分、サンゴリアスは辛抱強くボールをつないでSOクルーデンのクイックパスからHO中村駿太、CTB中野将伍とゲインしてチャンスとなり、パスをもらったWTB尾崎泰雅が左外を抜けてインゴール中央に持ち込み、再びゲームをひっくり返した、かと思われた。しかし、その前に、サンゴリアスにノックオンがあったことがTMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)で確認され、トライキャンセル。

 命拾いしたスピアーズは77分、敵陣深くに入ってスクラムから攻め、力強いボールキャリアーを使ってゴールに迫り、SOフォーリーが抜けて大きなトライを決めた。コンバージョンも決まり、24-13とリードを広げた。

 しかし、あきらめないサンゴリアスは、試合終了間際に猛攻でトライを奪い返し、リスタート後のチャンスにかける。

 そして、ホーンが鳴ったあと、逆転勝利へ執念を燃やしたサンゴリアスが自陣深くから13フェイズ重ねて尾崎泰雅が抜け、劇的なトライかと思われたが、一連の流れでスローフォワードがあったことがTMOで確認され、ノートライ。

 その前にスピアーズに反則があったためサンゴリアスの攻撃は続き、86分、敵陣深くに入ってラインアウトからモールで押し込みゴールラインを越えたが、TMOでチェックした結果、スピアーズの懸命の守りに対してサンゴリアスのグラウンディングがあったとは確認できず、ノートライとなり、直後、激闘の終わりを告げる笛が鳴った。

 勝ったスピアーズの立川理道キャプテンは、「すごくタフな試合だった。最後までわからない試合のなかで、勝ちきれたのは自信になる。なによりもサントリーさんの、14人になってからもすごくいい戦いをしたのは本当に尊敬する。しっかりとサントリーの分も決勝戦を戦って勝ちたいと思う。いい準備をしてパナソニックさんにチャレンジしたい」とコメントした。

 決勝は5月20日、国立競技場でおこなわれ、3季連続の日本一を狙う埼玉パナソニックワイルドナイツと、初優勝を目指すクボタスピアーズ船橋・東京ベイが対戦する。

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