九州唯一のリーグワンチームである九州電力キューデンヴォルテクスが、ディビジョン2への昇格を決めた。清水建設江東ブルーシャークス(今季ディビジョン2・5位)に挑んだ入替戦の第2戦は12-17で敗れたものの、第1戦を48-0と大勝していたため総勝点で上回り、入替戦の勝者となった。
5月13日に佐賀・駅前不動産スタジアムでおこなわれた第2戦。
キューデンヴォルテクスは開始早々、敵陣深くに入ってラインアウトからボールをもらったNO8ウォーカー・アレックス拓也の力強い走りでゴールに迫り、共同キャプテンのひとりであるLOトム・ロウがピックアップからインゴールにねじ込み先制した。
一方、ディビジョン2チームの意地を見せたいブルーシャークスは23分、スクラムから8-9でボールを手にしたSH原田健司がディフェンスを破り、トライ。36分にもスクラムでプレッシャーをかけ、雨の影響もあったか相手SHがボール処理をミスし、それを足にかけた原田がドリブルして連続トライゲッターとなった。
逆転され5点ビハインドで折り返したキューデンヴォルテクスは、相手にイエローカードが出て数的有利だった67分(後半27分)、ラインアウトからモールでゴールに迫り、FLコルビー・ファインガアが抜けてトライ。同点に追いついた。
残り時間は少なくなり、降格が濃厚となったブルーシャークス。それでも、今季ラストゲーム勝利へ執念を見せ、79分、敵陣深くのスクラムからの展開でフィジカル強いゲームキャプテンのCTBシアレ・ピウタウがディフェンスを破り、SOオルビン・レジャーにつないで勝ち越しのトライ。そして、キューデンヴォルテクスの最後の猛攻に耐え、ノーサイドとなった。
しかし、第1戦でトライを量産し、この試合でもボーナスポイントを獲得したキューデンヴォルテクスが総勝点(6-4)で上回り、入替戦勝者となってディビジョン2昇格が決まった。
キューデンヴォルテクスのゼイン・ヒルトン ヘッドコーチは、「選手たちを誇りに思う。一年間ずっと『We Are Kyushu』という言葉を掲げてきて、九州全体のためにパフォーマンスしてディビジョン2に上がることを目標にしてきたので、それが達成できて本当に嬉しい」と喜びを語った。
そして、負傷し松葉杖をついて試合後のインタビューに答えたキャプテンの高井迪郎は、「(ファンの)皆さんの声援や『We Are Kyushu』という想いが背中を押していただいた。それがパワーとなって、この結果を得られたと思う」とコメント。会社の同僚や家族にも感謝を述べ、涙で声を詰まらせながら、「本当に苦しい時期があったが、リーダーが支えてくれて、若い選手が成長して、いまキューデンヴォルテクス史上最強のチームになっていると思うので、苦しかった時よりもいまの嬉しさが大きい」と語り、ファンから大きな拍手を浴びていた。