スーパーラグビー・パシフィックは第12節目を迎え、レギュラーシーズンも残り4試合となった。
今週最大の注目カードは、クライストチャーチにあるオレンジセオリースタジアムでおこなわれるクルセイダーズ×ブルーズのカードだ。
両者の対戦は、スーパーラグビーだけにとどまらない。NPC(NZ国内の州代表選手権)でもカンタベリーとオークランドはNZ最大のライバル関係。その対決が盛り上がらぬはずがない。
トークバックラジオが盛んなNZでは、この試合についての議論が活発になっている。
現在ブルーズが3位で、クルセイダーズは1ポイント差で4位と同等の位置にいる。
両者は3月18日にブルーズのホーム、イーデンパークで対戦した。そのときは34-28でクルセイダーズが勝利している。
1シーズンで同じ相手に2度負けるわけにはいかないブルーズは、リベンジを果たすことができるだろうか。
◆クルセイダーズの注目はWTBの選考。ホワイトロックは欠場
クルセイダーズは、フォース戦でハットトリックを挙げたHOブロディ—・マカルスターをベンチに下げ、大一番ではコーディー・テイラーに背番号2を託す。ジョー・ムーディー、テイラー、タマティ・ウイリアムズのフロントローは強力だ。
サム・ホワイトロックはケガが癒えずに欠場。ビックマッチだけに影響が気になる。
注目のセレクションはケガも治り、先発メンバーに戻ってきた14番ダラス・マクロードだ。
本来はCTBの選手だが、4月29日のチーフス戦に続いてWTBで起用する。サイズがあり空中戦に強い。競った試合が予想されるため、キッキングゲームになる事を見越しての起用か。
その他のバックスリーは、50試合目を迎えるレスター・ファインガアヌクが11番。先週、8か月ぶりに復帰を果たしたウィル・ジョーダンが今週も背番号15をつける。
見事なカムバック戦だっただけに、ジョーダンの復帰2戦目が楽しみだ。
BKの先発陣にはキャップホルダーがずらりと並ぶ。ベンチには、ケガから復帰後調子を上げているCTBジャック・グッドヒューもいる。頼もしいBK陣。期待ができそうだ。
◆ブルーズのCTBトゥイヴァサ=シェックはメンバー外へ。
ブルーズは前節、モアナ・パシフィカ相手に大苦戦(31−30)した。しっかり立て直したいところだ。
今週は、大幅メンバー変更となりレギュラー陣がたくさん戻ってきた。
メンバー発表後にNZのメディアを騒がせたことがある。
先週ケガから復帰を果たしたばかりのRTSことロジャー・トゥイヴァサ=シェックがメンバーに入っていない。ベンチにも名前がない事からメディアの間で大騒ぎになった。
これについて、レオン・マクドナルドHCが質問攻めにあった。
渋い顔をしながらHCは、「ロジャー(トゥイヴァサ=シェック)は、優れた選手だが……」と
言葉を選びながら答える姿が印象的だった。
モアナ・パシフィカ戦、ディフェンスで課題を残したトゥイヴァサ=シェックを大一番では使えないと判断したのだろう。
12番に入ったハリー・プラマーの方が今の時点でトゥイヴァサ=シェックより上回っているのは明らかだ。プラマーは、司令塔もこなすことから、キッキングゲームにも長け、ディフェンスも悪くない。
ベンチにはCTB、WTBをこなし、出場すれば良い仕事をするブライス・ヒームが入った。大一番を控え、HCは適切な選考をした。
他のBKに目を向けると、9番フィンレ—・クリスティー、10番ボーデン・バレット、11番ケイレブ・クラーク、13番リーコ・イオアネ、14番マーク・テレアのオールブラックスのメンバーが先発メンバーに戻ってきた。クルセイダーズ相手に本気モードである。
FWは、今季急成長のHOリッキー・リッチテリ、ケガが癒えたLOパトリック・トゥイプロトゥ、急成長中でフィジカルモンスターのFLエイドリアン・チョート、NO8ホスキンス・ソトゥトゥを先発メンバーに戻した。
7番にはキャプテンのダルトン・パパリィイもいる。調子を上げてきたクルセイダーズのFW陣に十分対抗できるメンバーだ。
先週のモアナ・パシフィカ戦で力強い突進を見せるなど良いパフォーマンスをしたFLアキラ・イオアネはベンチスタート。後半からのインパクトに大きな期待が寄せられる。
そのアキラは、出場すればブルーズ100試合達成となる。ベンチも含めてFW、BKともに強力なメンバーだ。
◆たくさんの注目マッチアップ
タマティ・ウイリアムズ( 3番)×オファ・トゥンガファシ(1番)
今季のウイリアムズは、ワークレート、ボールキャリーの強さが増した。140キロ超えのサイズを活かせるか?
オールブラックスのトゥンガファシ相手に良いパフォーマンスができれば、いよいよ代表入りも見えてくるか。
スコット・バレット × パトリック・トゥイプロトゥのLO対決
大一番に間に合ったトゥイプロトゥが、オールブラックスに復帰するには、バレット相手に良いパフォーマンスをしたいところ。ラインアウトだけでなく、両者のフィジカルバトルも注目したい。
リッチー・モウンガ × ボーデン・バレットの司令塔対決
オールブラックスの10番を争う対決は、見逃せない。両者のゲームメイクが試合のカギを握るか。
チーフスの司令塔ダミアン・マッケンジーが絶好調なだけに、この試合でアピールしたいところ。
レスター・ファインガアヌク × マーク・テレアのWTB対決
昨年オールブラックスデビューした両者の対決は必見。パワーのファインガアヌク、スピードとランニングスキルの高いテレア。攻撃力よりもディフェンス力が試されるかも知れない。
ダラス・マクロード × ケイレブ・クラーク WTB対決
両者は、キックオフからチェイスして競り合えるなど、空中戦での強さを持っている。
クラークが目立つ展開になればブルーズが乗ってくる。
上記に挙げたマッチアップ以外でも注目すべきものがたくさんある。
スクラム、ラインアウトのセットピースも注目だが、特にFW第3列のブレイクダウンでのフィジカルバトルも見応えがありそうだ。
試合はテストマッチ並みの激しさになると思われる。どちらが勝つかまったく想像がつかない。
チケットは、売れ行きも良くフルハウスになりそう。
寒くなってきたクライストチャーチだが、熱い夜になるだろう。