「難しい条件の中、WASEDA FIRSTを体現しようと。みんな序盤から、ディフェンスで頑張ってくれた」
33-19で東海大を破った早大SO伊藤大祐(示に右)主将が淡々と試合を振り返った。
5月7日、小田原市城山陸上競技場で関東大学春季交流戦がおこなわれ、Aグループ(昨季上位校)の早大が自身にとって初の公式戦を勝利で飾った。早大は前半14分までにトライ三つを挙げる猛攻を見せ19-0と先行。しかし東海大も2トライ(前半21分、27分)を返し抵抗を見せる。さらに2トライを重ねた早大に東海大が最後まで食らいつき、最終スコアを早大33-19東海大(トライ数5本-3本)とした。
13時開始の試合は、時折激しく雨、風に見舞われる荒天。水しぶきの中のゲームは早大の3トライ先制で粗いやりとりになるかと思われたが、終わってみれば、両校がスコアに関わらず全力を尽くす熱戦だった。
早大のトライは、相手の反則を土台にしたラインアウトモールの力強さと、キック合戦からランとパスでスペースを突く展開力とを発揮した見応えあるもの。早大の大田尾竜彦監督も「今、出せるものを、しっかり出してくれた」と選手たちへの期待を示した。
ワセダが意識してきたのは今季スローガンの『WASEDA FIRST』。日本一になるためチームを第一に――との意味だが、その実行案にはさまざまな「ワセダらしさ」が含まれている。伊藤主将がこの日の成果として口にしたのは、冒頭の、試合の入り(序盤)の集中力だった。
ボールの弾みは不規則、足元も滑りハンドリングが難しいコンディションの中、特に序盤は早大が攻守の接点で優勢を保ち、得点につなげた。密集周りでの相手の反則を誘発し、ラインアウト・モールなどで序盤に3トライを挙げ19-0に(前半15分)。その後の失点で早大19-14東海大(前半28分)とされたが、この点についても大田尾監督は「どこで仕掛けるか、自分たちで考えた結果」と評価する。先手を取るワセダらしさを発揮したことと、今季注力する「自ら考え、実行する」姿勢に手応えを掴んだ。東海大戦を、今季初めのターゲットに据えていたという。
昨年ベスト8の東海大も、今季これまでの取り組みを表現した。3連続失点で0-19となったあと、シンビンが出て14人の時間帯(前半17分から)のピンチに気迫の2トライ。さらに、後半16分までに東海大14-33早大と差を広げられながらも、終盤に連携と走力で攻勢に転じるなど、チームの統一感が光った。
「ボール奪取の局面は常に重要になるポイント。今日はそこで精度に波があったが、意図するプレーができていたかをチェックしていきたい」とは東海大・木村季由監督。今季は新チーム立ち上げからアタックを優先して構築している。フェイズを重ねる場面を多くは作れなかったが、その意図はサポートの早さと厚みに表れていた。
第3週を終えた関東大学春季大会はこれで3週目。早大は次週、熊本で明大と第2戦を、東海大は東洋大戦(東洋大G)第3戦を迎える(東海大の第1戦は 40-21流経大)。