豊田自動織機シャトルズ愛知は5月4日、所属していた選手1名が飲食店で他人にけがを負わせる不祥事を起こしていたことを明らかにし、会見で謝罪した。
事案が発生したのは4月22日。チーム全体としての会食が解散になったあと、当該選手はチームメイト1名とその飲食店に入り、単独で行動していた際に事案が発生したことが確認されたという。当該選手は飲酒した状態だった。被害者のけがの程度は全治10日程度。本件は当該の選手個人と被害者の間の事案であり、示談が成立しているとのこと。当該選手は逮捕はされていないが、この件により4月末に退団している。
詳細については、被害者の意向に反するうえ、被害者の特定につながるおそれがあるということで、当該選手の名前などは明らかにされなかった。
事案発生後、シャトルズの金田拓也ゼネラルマネージャーは明け方に一報を受け、当日に会社に報告し、事実確認のために会食に参加したメンバー全員にヒアリングを実施し、28日にリーグワンに報告したという。
シャトルズの顧問を務める安井伸友氏は、「被害者の方はもちろん、応援してくださるファンの皆様、ラグビー選手を目指す子どもたち、リーグワン関係者の皆様など、多くの方に対する裏切り行為であり、許されるものではないと認識しており、チームとして大変重く受け止めております。誠に申し訳ございません」と謝罪した。
シャトルズは今季、ディビジョン2で3位となり、5月6日と14日には入替戦が予定されている。今回の不祥事を受け、辞退も考えたというが、今月1日、ジャパンラグビーリーグワンへ事案発生後の対応状況の報告と入替戦出場意向の申し入れをし、その後リーグワンで検討した結果、シャトルズが出場する入替戦の開催が決定した。
安井顧問は、「本件は決して許されるものではないと重く受け止めています。本件の発生を受け深く反省し、再発防止を徹底するというのが第一で、入替戦を辞退することも真剣に検討しました。非常に苦慮しましたが、チームとして、試合を通じ、ファンの皆様にラグビーをご覧いただく意義や責任についても考えました。そして、被害者の方に謝罪するなかで、試合の辞退を検討している旨をお伝えしたところ、『チームの活動には影響を与えないでほしい』というお言葉をいただきました。この言葉に甘えるわけではありませんが、最終的には出場させていただくことといたしました」と説明した。
「我々がラグビーをさせていただいているというのは、応援していただいているファンの皆様、地域の皆様、会社の職場の皆さんのおかげであるという、感謝の気持ちがいちばん欠けていたのではないかと深く反省しています。私がラグビー憲章というのを持ち出すのは大変おこがましいのですが、『品位・情熱・結束・規律・尊重』といったことを共通の価値観として、いま一度自ら考え、行動に移し、ラグビーファンの期待を二度と裏切ることがないように徹底してまいりたいと思います」(安井顧問)
同日、シャトルズの会見とは別に、ジャパンラグビーリーグワンの東海林一専務理事も会見をおこない、「ファンと関係者の皆様の信頼を裏切る行為が発生しましたことを、リーグを代表してお詫び申し上げます。また、被害者の方にお見舞いとお詫びを申し上げます」と謝罪。
2022年に始まったリーグワンでは、加盟クラブに所属していた選手の違法薬物所持や、今回とは別件の飲食店での不祥事もあり、東海林専務理事は「大変遺憾です。一部に、インテグリティ(ハラスメント・暴力行為・ドーピングなどの問題行動を決しておこなわないという健全性に加えて、マナー・規律・スポーツマンシップなどのラグビーが持つべき倫理性・高潔性を含む概念)に対する意識の欠如があると認めざるを得ません。リーグは深い反省の上に、再発防止をチームに強く指導し、取り組みを共に強化し、進めてまいります」とコメントした。
具体的には、「3カ月に一度のインテグリティオフィサーを主体とするチームでの研修活動の徹底」などをおこなっていく。