オーストラリアとニュージーランドのナショナルアンセムを、両チームの選手たちが大声で歌って戦いに挑んだ。
サニックスワールドラグビーユース交流大会2023の2日目となった4月29日。女子セブンズの順位決定トーナメントがおこなわれ、ファイナルでキングス クリスチャン カレッジ(豪州)とマヌクラ(NZ)が決勝で戦った。
福岡・宗像のグローバルアリーナは雨模様だった。
ボールがすべる。足元も不安定。華麗なパス回しは見られなかったものの、そのぶん、お互いの気持ちがぶつかり合う戦いとなった。
マヌクラの背番号7、テ・マイア・スウィートマンが強烈なハンドオフで前に出ようとする。
それをキングス クリスチャン カレッジの選手たちがハードなタックルで止める。
立ち上がりの攻防に、見つめる者たちから声があがった。
最終的に27-0と、キングス クリスチャン カレッジが完勝した14分。序盤の展開通り、勝者がディフェンスからチャンスをつかみ、スピードで5トライを奪う展開だった。
将来性豊かな選手たちが揃っているのは事実だった。
しかし、その選手たちが結束して勝機を作り出し、高い集中力を見せたことこそ勝機。チームの指揮を執るタニア・ハラ コーチは、「選手たちが、貴重な国際交流を楽しみながらハードに戦ってくれた結果」と笑顔を見せた。
3位決定戦は、日本チーム同士の戦いとなり、福岡レディースが佐賀工に14-7と勝ち、国内勢の最高位に立った。
「フィジカルでは相手が上なので、試合の入りが大事だと思って戦いました」と話したのは、大隅珠姫主将。
ファイナルが終わる頃には、強かった雨足も弱まっていた。チームメートと、対戦相手と、交流の輪が広がる。
この大会の価値は、荒天にも輝きを失わなかった。