Jリーグでも、スーパーラグビーでもないレッズがじりじり上昇している。
タイセイ・ハウジーレッズは、東日本トップクラブリーグ2022で2位となり、2023年度シーズンはディビジョン1を舞台に戦う。
元日本代表の吉田尚史氏が監督を務めるレッズは、タイセイ・ハウジーの社員で構成するチームだ。
ワールドカップに2度出場している元日本代表NO8、伊藤剛臣コーチも指導にあたる。
タイセイ・ハウジーは、企業の社宅代行業を軸にした総合不動産会社だ。
グループ会社を含め、約800人の社員のうち約100人が、元選手、現役プレーヤーやレフリーなどを含むラグビーに縁がある。
レッズの指導陣も含め、元日本代表選手たちもいる。
創業者の赤間敏雄取締役相談役は、福岡・嘉穂高校でラグビーを始めた。専大でもラグビー部に入り、楕円球を追った。
大学卒業後は営業マンとして活躍していたが、やがて脱サラして不動産会社を設立した。
田園都市線沿線を中心に事業を拡大していったことから、「地域への恩返しをしたい」と考えて作ったのが田園ラグビースクールだ。
少年少女をラグビー好きにして、多くのファミリーを世に出してきた。
赤間相談役は、現在も同スクールの試合観戦のためにグラウンドへ足を運ぶ。
雨が降ろうが、「観たい。子どもたちの気持ちを感じたい」と情熱は衰えない。
「その姿を見て、周囲の人たちがついていく」と話すのは、同社の水谷眞氏だ。常勤顧問を務めている。
創業者の、「ラグビーを愛しています。また、ラグビーを愛している人が好き」という信念の下で長く採用を続けてきた結果、タイセイ・ハウジーにはラグビー出身の社員たちが多くなった。
信頼される社員の存在が、大きな流れを作ったといってもいいだろう。
赤間健一郎代表取締役会長は、ラグビー出身者の長所を、「結束力、団結力と強調性。組織が一つの目標に向かっていくための推進力になる」と評価する。
髙橋邦夫代表取締役社長も、「例えば営業職に就いているラグビー出身の社員は、コミュニケーション能力と突破力を使って切り開いていく力がある。そして、まず動くのがいい」と笑う。
おふたりともラグビーマン。包容力が伝わってくる。
会社は、レッズの活動をサポートしている。遠征費や宿泊代をサポート。丸4年指導してきた吉田監督は、「仕事とラグビーを両輪に人生を楽しんでほしい」と選手たちにエールを送る。
「急がず、少しずつ強くなって、いつか全国上位になれたらいいですね」
伊藤コーチが鍛えるFWは、チームのエンジンとなって試合の流れを引き寄せる役目を担う。
「ラグビー経験者は会社の雰囲気も明るくしますね」
各営業所に、ラグビー者が必ず一人はいる。ムードメーカーとして、周囲を牽引する存在であることが多いそうだ。
レッズの名前は、創業者の「赤」から。そこからは、燃えるような情熱も伝わってくる。