強風と相手の前に出る気持ちに、序盤はスコアが動かなかった。
しかし前半15分、圧力をかけたスクラムからFWでトライラインに迫る。
最後はFL杉下暢主将がゴールポスト下にボールを持ち込み、今季10勝目へスタートを切った。
4月8日、広島・Balcom BMW Stadiumでリーグワンのディビジョン3、中国電力レッドレグリオンズ×NTTドコモレッドハリケーンズ大阪がおこなわれた。
勝利(31-0)を収めたのは、先制トライを奪い、この日のプレーヤー・オブ・ザ・マッチにも選ばれた杉下主将率いるレッドハリケーンズ。
この日、今季10勝目(1敗/全11戦)を挙げた同チームは勝ち点を49に伸ばした(首位)。
その結果、2位で追う九州電力キューデンヴォルテクスとの勝ち点の差は11に開く。
ヴォルテクスが残す2戦を全勝で終えても追いつかないことが決まり、レッドハリケーンズのD3優勝が決まった。
もともとD3で優勝しても、D2下位チームとの入替戦を経て、上回らない限り昇格は決まらないはずだった。
しかし不祥事で活動を停止し、D2最下位が決定していた日野レッドドルフィンズが入替戦を辞退したことで、D3優勝=自動昇格と変更。
レッドハリケーンズの選手たちは、優勝、賞金300万円とともにD2昇格も手にして全員が笑顔だった。
杉下主将の先制トライで始まった試合は、風下のレッドハリケーンズがハーフタイムまでに2トライ(FLヴィリー・ブリッツ、SH山内俊央)を追加。前半を19-0として終えた。
後半も接点の強さで上回り、レッドレグリオンズに得点を許さない。
強風下で思うように試合を進められなかったものの、さらに2トライを追加して完封勝ちだった。
試合後の会見に姿を見せた杉下主将は、「決してきれいなトライではありませんでしたが、スコアを重ねることができ、相手に得点させなかった。結果を残せた」と試合を振り返った後、「優勝することができて嬉しい」と清々しかった。
ラグビー事業会社設立とチーム再編により、昨季終了後、選手、スタッフの大規模な出入りがあった。
装い新たなチームとして、D3からの再スタート。
一体化することが簡単ではない中で始動したチームについて、主将は「お互いを知ることから始めました」と話す。
シーズン序盤は、不安定な戦いもあった。
しかし、試合を重ねるごとに選手間の絆は深まり、プレーの精度も高まる。この日のような、強風や緊張感のある中でのプレーに、積み上げてきたものが感じられた。
1シーズンでD3から足を踏み出したけれど、目指すところはもっと上。
そう自覚するキャプテンは、「次の試合(4月15日のキューデンヴォルテクス戦/今季最終戦)でベストゲームをする」と言った。
本当にたどり着きたいステージへ、足を止めない。