1シーズンで必ず関東大学対抗戦Aへの復帰を果たす。
昨季は対抗戦Aの最下位に終わり、入替戦でも敗戦。2023年シーズンは対抗戦Bで戦う日体大が新体制を発表した。
主将にFL伊藤拓哉(東京)、副将にSH小林峻也(日大明誠)、FWリーダーにPR?山達也(高崎工)、BKリーダーにSO小田晴陽(東海大福岡)が就いたことは、3月21日に告知されていた。
4月1日には指導体制が発表された。
2020年度までヘッドコーチ(以下、HC)を務め、その後2シーズンは大東大HCだった秋廣秀一氏が監督に就いた。
同監督とともに大東大を指導していた渡邊徹氏が、総務・寮監・FW・S&Cコーチを務める。
網野正大FWコーチは留任し、BKコーチには湯浅直孝氏が就いた。
部長を務めるのは松瀬学氏だ。
同部長は早大ラグビー部OB。2018年度から日体大のスポーツマネジメント学部で教鞭を執り、現在は教授を務めている。
学内での異動に伴い、ラグビー部を離れた米地徹部長(監督兼任)の後任という大役に、本人は「青天のへきれき」と話す。
歴史あるクラブだ。立派なOBも多数いる。一度は断った。
最終的に引き受けたのは、先輩たちの声が背中を押してくれたからだ。
日体大OBでもある、元関東学院大監督の春口廣氏、帝京大前監督の岩出雅之氏(現、同大学ラグビー部顧問)に相談した。
「春口先生から、ラグビーが好きなら、ぜひ大学ラグビーを盛り上げてくださいと言っていただきました」
岩出氏には、こう言われた。
「正直、松瀬さんが日体大にいてくれてよかった。メディアとして、ラグビー界のいろんな組織、いろんな人を見てきたでしょう。だから、日体大のラグビー部を再建するのには適任だと思います。部長として、安全、安心な活動環境づくり、学生のウェルビーイング(心身の幸福)をつくってやってください」
「ありがたいご縁です。これが人生最後のラグビーへの恩返しでチャレンジと思い、やらせていただくことにしました」
松瀬部長は、「日体大ラグビー部は人を作る、と思っています。指導者、選手を問わず、多くの人材を輩出してきた日体プライドの復活を目指します」と話す。
福岡・修猷館高校から早大へ進学し、長く共同通信で記者を務めた。同社を離れた後もフリーランスのライターとして活躍してきた。
そのキャリアを生かし、日体大ラグビー部の発信力も強化していきたいと考える。
高校時代はバックローだった。早大に入学後、1年時の春シーズンの終わりに3番に転向となった松瀬氏のPRデビュー戦は夏合宿、菅平での日体大戦だった。
Bチーム戦と記憶している。トイメンは高校日本代表経験者の『やさかのシンゴ』こと山本清悟氏だった。
押された。そして負けた。
「日体大は強い。そのとき、そう強く印象付けられました。伝統的に走るチーム。まさに、その通りのチームでした」
強い日体大の復活をサポートする。学生たちの笑顔を見たい。
3月下旬、新入部員を含む全部員の前で話す機会があった。
新部長は、『E.A.T.』という造語を選手たちに伝えた。
「もっとラグビーを楽しんでほしい。その結果強くなって、憧れられる存在に。そしてチームになろう、と。エンジョイのEと、憧れ(admire)のAとチームのTでEATです」
男子ラグビー部だけでなく、女子ラグビー部のサポートもする。
授業もたくさんある。多忙になるけれど、これまでと違ったラグビーとの関わり方にわくわくしている自分がいる。