3月25日に開幕した全国高校選抜大会。初戦のこの日は3か所で16試合がおこなわれた。
高校ラグビーファンが一番衝撃を受けたのは、西グラウンドの第4試合だろう。
昨季花園を逃した桐蔭学園(関東1位)が、昨季花園ベスト4の京都成章を61-7で大勝した。優勝候補に一気に名乗りを上げた。
FW陣がコンタクト局面で前に出続けた桐蔭は前半、開始7分で3トライを奪うなど一方的に6トライを挙げ、勝利を早々に決めていた。
西グラウンドではほかにも熱戦が展開された。
第1試合では、昨季花園出場を逃した札幌山の手と、昨季花園準優勝の報徳学園を県予選決勝であと一歩まで追い詰めた関西学院が登場。粘り強いディフェンスとSH近藤悟のゲームメイクが光った山の手が、関西学院の追い上げを振り切り、15-14の僅差で勝利を収めた。
第3試合では関東5位の茗溪学園が、長崎北陽台を20-12で破った。茗渓は後半6分までに15-0としゲームを支配していたが、北陽台がここから意地を見せる。得意のモールで2トライを奪い、26分までに3点差まで詰めた。しかし、終了間際に茗溪のエースWTB、森尾大悟が防御網を切り裂いて決勝トライ。猛追をかわした。
第2試合は昨季花園準優勝の報徳学園が、第5試合は大分東明が北陸勢を倒した。報徳はWTB長谷川諒、FB太田啓嵩といったランナーを走らせ、先へ先へとスコア。日本航空石川を22-12で下した。
東明は序盤から一方的にスコアを重ね、193㌢のセニビツ・イリエサの3本をふくむ7トライで49-0と完封勝利を収めた。CTB川口慧大が7本すべてのコンバージョンを決める活躍だった。
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Bグラウンドの第1試合では昨季花園ベスト8の佐賀工に、東北大会3位、4大会ぶり出場の黒沢尻工が挑んだ。接点で優位に立つ佐賀工はキックで敵陣に入るとSH井上達木、SO服部亮太を軸に素早く展開、前半4分の北村捷真のトライを皮切りに6トライをあげ38-0で折り返した。後半もゴール前PKからFWで攻めて2トライを挙げるなど、佐賀工が62-0と黒沢尻工を圧倒した。
続く第2試合では5大会ぶりの出場となった東海大相模と4大会ぶり出場の名古屋が対戦。序盤はお互いにミスが多く膠着状態が続いたが、20分、東海大相模がWTB中村咲陽のトライで先制すると試合が動き出し、後半に入ると東海大相模が得意のラインアウトからモールを押し込んで2トライを追加するなど、31-5で2回戦にコマを進めた。
第3試合は東海1位の中部大春日丘と九州B2位の東海大福岡が対戦した。実力で勝る中部大春日丘が前半3トライを挙げてリードしたが、東海大福岡も出足の鋭いディフェンスで何度もキックチャージを見せるなど健闘をみせた。東海大福岡は後半2トライを返すも力及ばす、中部大春日丘が41-15で勝利した。
激戦となったのは関東3位の國學院久我山と近畿4位の関大北陽の一戦。國學院久我山はセットプレーでプレッシャーをかけるも関大北陽はSO羽根田陸の効果的なキックで地域を取り、前半22分にはNO8永井玲雅が先制のトライ、前半を7-0とリードで折り返した。後半12分に國學院久我山がラインアウトからHO多田正吾のトライで5点を返し、26分にはCTB長谷川裕太のPGで逆転、この1点を守り切った。
第5試合では近畿2位の常翔学園が北海道2位の函館ラ・サールを圧倒した。WTB松本暁生の4トライを始め、WTB山本啓太、NO8岩本有伸の3トライなど計17トライ103点を挙げて勝利。
第6試合、8人の1年生が先発した長崎南山と推薦枠の東京の対戦は、後半開始6分に東京がHO小柳出琉久のトライで一度は逆転するも、それから連続3トライを挙げた南山が35-17で東京を突き放した。
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Cグラウンドの第1試合では、近畿大会王者の大阪桐蔭と関東3位の流経大柏が対戦。接点にこだわりを持つ両チームの激突らしく序盤からタイトなフィジカルバトルが繰り広げられる中、前半は7-0と大阪桐蔭がリードして折り返す。後半も5分にWTB花田大赳、23分にHO西野陽と2トライを加えた大阪桐蔭が、20-0で実力校対決を制した。
同じく激戦となったのは第5試合の國學院栃木×尾道だ。前半は尾道がCTB佐藤楓斗主将のトライなどで14-0と先行するも、後半に入り戦い方を修正した國學院栃木がLO長谷川心弘の2トライで追いつき、16分のHO小田木教斉のトライで逆転する。尾道も22分にCTB渡部志道が防御の穴を抜け出してトライを返したが、コンバージョンは惜しくも外れ同点にはできず。最後は粘り強いディフェンスで守り抜いた國學院栃木が21-19で振り切った。
この日のCグラウンドは他にも好ゲームが続いた。推薦枠で初出場の高川学園は名門・秋田工を18-12で破り、山口県勢として選抜大会初白星を獲得。
松山聖陵と秋田中央も熱戦となり、後半に2トライを挙げた松山聖陵が15-14で逆転勝ちを収めた。
また昨冬の花園王者・東福岡は、地元埼玉県の川越東のひたむきなタックルに苦しみながらも要所でスコアを重ね、43-0で順当に2回戦へ勝ち進んだ。