国内リーグワン1部の東京サントリーサンゴリアスはいま、昨季王者の埼玉パナソニックワイルドナイツとの第11節を見据える。3月11日、東京・秩父宮ラグビー場に立つ。
5日に秩父宮であった前節では、トヨタヴェルブリッツに20-27で惜敗。2019年のワールドラグビー年間最優秀選手のピーターステフ・デュトイらを擁しながら下位に低迷するヴェルブリッツは、局地戦で激しい圧をかけていた。それに対し、サンゴリアスの得意な波状攻撃はやや機能不全に映った。
SHで共同主将の齋藤直人は、7日、都内での練習後にこう振り返った。
「(ヴェルブリッツ戦では)元気は、なかったかなと。リーダーとして責任を感じています。相手がどうとか、状況がどうとかは、お互いにとってイーブン。そんななかでもアグレッシブにチャレンジしなきゃいけないのが、サンゴリアスです。その点はきょう、(チームで)再確認しました。同じことが起きないようにしたいです」
同じ秩父宮でのワイルドナイツ戦に向け、直近の黒星を引きずることはない。
昨年のプレーオフファイナルでこのカードに臨んだ際は、相手よりも多く反則を犯したうえノートライで屈している。それを踏まえ、フォーカスポイントをこう述べる。
「ひとつは規律。あと、自分たちの強みはアタックです。そこを、どんどん出していきたい」
就任1年目の田中澄憲監督は「(ヴェルブリッツ戦では)保守的な部分が出ていた。こちら(首脳陣)のプランニング(に反省点がある)」「人任せなところがあった。あの日は新しいメンバーも入っていたので、いま振り返れば、事前にコミュニケーションを取ったり、サポートしたりする部分があってもよかった」とし、いまは原点回帰を強調する。
堅守で鳴らす王者に、自慢の攻めを繰り出すつもりだ。
「目の前の試合へ100パーセント、いい準備をする。ワイルドナイツに、自分たちのこだわっているものをぶつける」
ワイルドナイツは一枚岩の防御ラインを敷き、強烈なタックルやジャッカルで攻め手の球出しを鈍らせる。その間、ふたたび堅陣を張る。
このループを断ち切るべく、サンゴリアスは、反応速度と運動量に活路を見出したい。指揮官は続ける。
「(防御側が)全部のスペースを埋めるのは(構造上)無理です。彼らはそれ(攻撃側が付け入る隙)をプレッシャーとリアクションで消している。リアクションは、こちらのほうが速くしなければいけない」
リーグ戦が進行するさなか、日本代表も動き出す。
今秋のワールドカップ・フランス大会に向け、2月上旬にミーティング合宿を実施。以後はスタッフが候補選手にアプローチし、定期的に出場試合のレビューをおこなう。
齋藤も数週間前、トニー・ブラウン アシスタントコーチと直接面談。同コーチとは近く、再びオンラインで対話するという。
「(代表側との話し合いがあるのは)いいことだと思います。それがあるから頑張る、ということはないですが、自分の課題が何で、それに対してどうアプローチするかが明確になります」
改めてワールドカップへの意気込みを問われれば、「日本代表の9番(スターター)として必ず出場したいです。チームが勝てるよう、ドライブしたいです」。春は国内シーンで己を磨き、秋には立つべき舞台に立つ。