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髙島忍[横浜キヤノンイーグルス育成・普及担当]が立命館慶祥中・高の先生に。ラグビーの楽しさ、魅力を伝える。勝てば、もっと面白くなる

2023.03.04

ファンから贈られたプレゼントを首に。愛嬌のあるキャラクターは、中高生にも愛されそう。(撮影/松本かおり)



 姿を見つけると、何人ものファンが駆け寄ってきた。
 チームのホームページやツイッターで、3月3日の静岡ブルーレヴズ戦が「最後の試合」と発信されていたからだ。

 横浜キヤノンイーグルスの髙島忍育成・普及担当が、同日の試合を最後にチームから離れた。
 4月から立命館慶祥中学校・高等学校(北海道)の先生になる。

 ブルーレヴズ戦はナイター開催だった。
 新しい道へ踏み出すことを知ったファンが、秩父宮ラグビー場で髙島さんの姿を見つけると、何人も駆け寄っていた。

 涙を浮かべる人。
 花の首飾りを作ってきたファン。
 愛されキャラが伝わってくる。
 一緒に写真を撮ったり、話したり、多くの人たちが今後の人生へのエールと、イーグルスでの日々への感謝の気持ちを言葉にしていた。

 髙島さんは2015年の入社以来昨季まで、8シーズンに渡ってプレーした。
 最後の年はHOとして15戦すべてに出場。試合をしめくくる時間帯を任される信頼を勝ち得ていた。

 そんな中で引退を決めたのは、「教師になり、ラグビーを教えたい」と、明確な人生の設計図を持っていたからだ。
 30歳になったら、その準備を始めたいと考えていた。そして実行した(2022年8月31日で30歳になった)。

 教員免許は立命館大学在籍時に取得していた。
 立命館宇治高校出身で、立命館ラグビーの中で育ってきたこともあり、将来のことは大学ラグビー部の部長にも相談していた。
 指導者となることを第一に、可能性は立命館の枠に限っていなかった。結果的に、幸運に恵まれた。

 立命館慶祥高校は先の全国大会で、初めて花園出場を果たした。
 継続的に強化を進めていきたい流れの中で、「自身の経験を立命館ラグビーに還元していきたい」と考えていた30歳に声がかかった。

 4月から保健体育の教員として、中高生を教える。
 引退後に力を注いでいたアカデミーでの指導経験も生きそうだ。
「中学生には、ラグビーは面白いと思ってもらえるような指導をしたいですね。まず楽しむ。その根本を伝えたい」と話す。

 勝負の世界で生きてきた経験は、特に高校生たちの参考になるだろう。
「勝てばおもしろい。沢木さん(敬介監督)から学びました。初出場から、花園で1勝、2勝することが目標になるでしょう。勝ちたい気持ちが強くなると思うので、そこをサポートできれば」

 168センチのサイズながら国内最高峰リーグで、フロントローとして戦えたのは、自分の強みを理解していたからだ。イーグルスで初めて先発の座を掴んだのは入団から7年目だった。
 選手たちの心に響く話もきっとできる。
 コーチとして、若者たちに影響を与える存在になれそうだ。

 北海道へ向かう引っ越しの準備を進めている。
 同じ時間を過ごしてきた仲間たちは、初めてのトップ4入りを目指して奮闘中(この日の試合は22-22の引き分け)。「今シーズンこそ、そこに到達してほしい」と応援する。

「これからはサポーターのひとりとして応援していきます」
 北海道でイーグルスの魅力を広めたい。
 そして、ラグビーと一生付き合っていく若者たちを増やす。


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