ウェアのサイズは特注らしい。来日時、チームが用意した「日本の2XL」が入らなかったからだ。
今季からリコーブラックラムズ東京に入ったネイサン・ヒューズは、公式で「身長196センチ、体重126キロ」。イングランド代表22キャップ(代表戦出場数)の31歳は、初参戦の国内リーグワン1部でインパクトを残す。
接点で相手の球を奪い取る腕力、走者との間合いを詰めてタックルを繰り出す際の瞬発力、突進する際の馬力と加速力……。
「日本へ来た理由は、自分へのチャレンジです。それまで9年間、イングランドでプレー(ワスプス、ブリストル、バース)。切り替えて、違う国でラグビーをしたかった。フランスにもオプションはありました」
フィールド上での激しさについて、当の本人は「それが8番(NO8)の仕事」。手柄を誇るよりもむしろ、周囲へ感謝する。
「せっかくのサイズを持っているので、いいコンタクトを生み出そうとしています。もっと成長したい。アシスタントコーチのマット・テイラーと話し、どうすればより良いディフェンダーになれるかを考えています」
合流後は、肉体改造にも着手した。テンポの速い日本のラグビーに適応するためだ。若井正樹ハイパフォーマンスマネージャーのもと、「ハードワーク」を重ねた。ひたすらに心拍数を上げた。
おかげでいまは、来日時と比べ「9キロ減」とのことだ。
「(当初は)132キロもあったんだ! いま(取材時は1月下旬)は123キロくらい、かな? 食事の量はイングランドにいた時よりも増えているけれど、向こうにいた時よりも走るトレーニングが多い。それで、体重が落ちた感じです。よりボールを持ってプレーする日本のラグビーは気に入っています。僕はまだ31歳。まだまだ、できる」
10年目のSH、山本昌太には、このように賞賛される。
「仲間思い。それをアクションに起こしてくれる。痛いことを率先してやってくれる。あれだけ相手が立っているところに自分からボールキャリーしてくれる選手は、なかなかいないです。自分の長所を理解し、チームに還元してくれるのは頼もしい。来た時よりもシェイプアップされたのは、本人が海外と日本の違いを感じて合わせてくれたから。プロフェッショナルだな、と感じます」
ブラックラムズは目下12チーム中9位。ただし上位陣とのゲームでは攻め込まれながらも再三、ミスを誘うなど、しぶとさを示す。3月4日には柏の葉公園総合競技場で、11位のNECグリーンロケッツ東葛との第10節に挑む。
ヒューズは笑顔だ。
「ファンの皆様、いつも応援してくれてありがとうございます。このままビリーブしてください。結果、出します!」