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イノケ・ブルア、イーグルス加入でブレイクの兆し。

2023.03.01

これまで8試合先発で6トライを挙げているイノケ・ブルア(撮影:松本かおり)


 鍛えられた。

 横浜キヤノンイーグルスのイノケ・ブルアはいま、本来のポテンシャルを開花させつつある。

 フィジー出身で持ち場はWTB。流経大2年時にブレイクし、同シーズンのオフにはスーパーラグビーへ挑むサンウルブズへ加わった。

 さらに浮上したように映ったのは、2022年にイーグルスへ合流してからだ。

 サンウルブズのコーチングコーディネーターだった沢木敬介監督のもと、「ゲームの理解力とフィットネスを磨きました」。全体練習とは別に走り込みも課され、持久力と切れが増した。

 それでもサイズは、新シーズンの公式記録にある「身長178センチ、体重95キロ」よりも重い「99キロくらい」だと自己申告。筋肉量が増えたのだ。

「沢木さんとはサンウルブズの時から一緒で、常に気にかけてもらっていました。ポジティブに選手の力を引き出し、本領を発揮させてくれる監督だと感じます。(トップレベルでプレーする)チャンスを与えてもらい、感謝しています」

 果たして加盟する国内リーグワン1部では、第9節までに6トライを挙げた。

 代表歴のある選手のタックルを振り切ったり、跳ね飛ばしたりする機会も多い。6勝で12チーム中4位につけるチームにあって、存在感を示している。

「力を発揮できるよう、心身の準備をしてきた」

 2月4日のリコーブラックラムズ東京戦(神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場)では、試合終盤のインゴールノックオンを指揮官にとがめられたものの、好プレーも披露した。

 持ち場と逆の左端へ回り込んでのタックル、タックラーを蹴散らす好ラン…。先制トライも決め、34-13での白星を受けプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた。

 ロールモデルはマリカ・コロインベテだ。オーストラリア代表51キャップのWTBで、国内タイトル2連覇中の埼玉パナソニックワイルドナイツに所属する。身長182センチ、体重96キロと大きく、速い。

 1月28日には敵地、熊谷ラグビー場で対面対決が実現した。

 強烈なインパクトを誇るコロインベテに、ブルアのほうがタックルをお見舞いするシーンもあった。

 前半21分頃、味方のキックを追いかけながら刺さった。相手も強靭とあり倒し切ることはなかったが、勢いよく刺さってその場で足止めさせた。

 19-21で惜敗。王者撃破に近づいた。

「高校時代にテレビで彼のパフォーマンスを見て、あんなプレーがしてみたいと思っていました。(直接対決は)チャレンジになると思って挑みましたが、あくまで、自分にベクトルを向けて戦いました」

 今秋には、ワールドカップ・フランス大会がある。

 進境著しいフィジアンは、日本代表入りへ「チャンスがあれば、頑張ります」と意欲的だ。

 防御やキックの精度を磨き、目標を叶えられるか。チームは3月3日、東京・秩父宮ラグビー場で静岡ブルーレヴズとの第10節に挑む。

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