鍛えられた。
横浜キヤノンイーグルスのイノケ・ブルアはいま、本来のポテンシャルを開花させつつある。
フィジー出身で持ち場はWTB。流経大2年時にブレイクし、同シーズンのオフにはスーパーラグビーへ挑むサンウルブズへ加わった。
さらに浮上したように映ったのは、2022年にイーグルスへ合流してからだ。
サンウルブズのコーチングコーディネーターだった沢木敬介監督のもと、「ゲームの理解力とフィットネスを磨きました」。全体練習とは別に走り込みも課され、持久力と切れが増した。
それでもサイズは、新シーズンの公式記録にある「身長178センチ、体重95キロ」よりも重い「99キロくらい」だと自己申告。筋肉量が増えたのだ。
「沢木さんとはサンウルブズの時から一緒で、常に気にかけてもらっていました。ポジティブに選手の力を引き出し、本領を発揮させてくれる監督だと感じます。(トップレベルでプレーする)チャンスを与えてもらい、感謝しています」
果たして加盟する国内リーグワン1部では、第9節までに6トライを挙げた。
代表歴のある選手のタックルを振り切ったり、跳ね飛ばしたりする機会も多い。6勝で12チーム中4位につけるチームにあって、存在感を示している。
「力を発揮できるよう、心身の準備をしてきた」
2月4日のリコーブラックラムズ東京戦(神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場)では、試合終盤のインゴールノックオンを指揮官にとがめられたものの、好プレーも披露した。
持ち場と逆の左端へ回り込んでのタックル、タックラーを蹴散らす好ラン…。先制トライも決め、34-13での白星を受けプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた。
ロールモデルはマリカ・コロインベテだ。オーストラリア代表51キャップのWTBで、国内タイトル2連覇中の埼玉パナソニックワイルドナイツに所属する。身長182センチ、体重96キロと大きく、速い。
1月28日には敵地、熊谷ラグビー場で対面対決が実現した。
強烈なインパクトを誇るコロインベテに、ブルアのほうがタックルをお見舞いするシーンもあった。
前半21分頃、味方のキックを追いかけながら刺さった。相手も強靭とあり倒し切ることはなかったが、勢いよく刺さってその場で足止めさせた。
19-21で惜敗。王者撃破に近づいた。
「高校時代にテレビで彼のパフォーマンスを見て、あんなプレーがしてみたいと思っていました。(直接対決は)チャレンジになると思って挑みましたが、あくまで、自分にベクトルを向けて戦いました」
今秋には、ワールドカップ・フランス大会がある。
進境著しいフィジアンは、日本代表入りへ「チャンスがあれば、頑張ります」と意欲的だ。
防御やキックの精度を磨き、目標を叶えられるか。チームは3月3日、東京・秩父宮ラグビー場で静岡ブルーレヴズとの第10節に挑む。