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「楽しむ」が「軸」。スピアーズ根塚洸雅、休息週明け初戦で立ち返る「ベーシック」。

2023.02.19

根塚洸雅。19日のダイナボアーズ戦でも14番をつける(写真提供:クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)


 努力は必ず誰かが見ている。

 昨季の国内リーグワンで新人賞を獲った根塚洸雅は、そう信じて「頑張るだけです」。今季も所属するクボタスピアーズ船橋・東京ベイで激しい定位置争いに競り勝ち、開幕から7戦連続でWTBのスターターを務める。5トライを記録した。

「(周りの選手と)コミュニケーションを取って、どれだけ頑張るか。それ以上にアピールすることはないです。それで他の人が(レギュラーに)選ばれればもう1回、自分が選ばれるように頑張るだけ」

 身長173センチ、体重82キロと小柄も、タッチライン際で存在感を示す。スペースを突っ切り、倒れたらすぐに起き上がる。

 昨夏、日本代表に初選出された。今年2月上旬にあった同代表のミーティング合宿へは不参加となったが、その折は、構想に入った全ての候補選手が招集されたわけではない。セレクションが本格化するのは、5月までの国内シーズンが終わってからだろう。

「呼ばれなかったからどうこうではなく、愚直にやるしかない」と根塚。まず自分と向き合う。

 かねて日本代表の首脳陣から求められてきた、防御力と空中戦での強さを磨きたい。

「そこをやればリーグワンでも活躍できるし、自ずとそういうところには近づくのかなと」

 ここでの「そういうところ」とはもちろん、今秋のワールドカップ・フランス大会への出場を指す。

 もっともいまは、12月中旬からのリーグ戦の最中だ。クラブの優勝へ突き進む。

 旧トップリーグ時代から2季連続で4強入りのスピアーズは、シーズン初戦で昨季準優勝の東京サントリーサンゴリアスを下した。

 幸先の良いスタートを切り、第7節までに6勝1分。サンゴリアスをはじめとした8つのクラブが第8節を消化した18日の時点で、12チーム中3位につく。

 もっとも内容的には、消化不良の感も残す。過去2試合では序盤にリードを奪いながら、中盤以降のエラー、反則で相手に流れを渡すこともあった。

 結果的には連勝しているが、根塚は自軍をこのように見る。

「そこまでネガティブに考えているわけではないですが…。序盤に点差を広げることができて、そこから、余裕なのか、油断なのか、『これで、できるだろう』というふうになり、ミスが多くなって、苦しめられることが多かった。練習でも、(動きが)うまくいった後に軽いプレーが出ることがたまにあります。課題をどれだけ早く克服できるかが、キーポイントになります。それができれば、もっと強く、簡単に負けないチームになれる」

 休息週後の一発目にあたる19日のゲームは、本拠地の東京・江戸川区陸上競技場でおこなわれる。

 対する三菱重工相模原ダイナボアーズは、昇格初年度ながら粘りの防御で勝率5割と奮闘する。

 伏兵と対峙するスピアーズはまず、80分を通して自軍の長所たるフィジカリティ、展開力を表現することにフォーカスする。

 テーマは「バック・トゥ・ザ・ベーシック」だと、根塚は言う。

「基本に戻ろう、です。いいスタートが切れるのは強みだと思うので、そこから油断することなく、手堅いプレーをしながら、クボタの強みを出していく。それがずっとできれば、無理せず、自分たちらしく勝てると思います」

 すっかりリーグきっての有名選手になった。それでもアスリートとしての「軸」は変わらない。

「楽しむ。それは常に忘れたくないと、いまも思っています。自分が楽しんで、応援してもらえる人に楽しんでもらう」

 試合が終わったら、チームカラーのオレンジ色の服を着たファンに喜んで帰ってもらいたい。

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